伊藤忠ファッションシステムは、自社の検査機関「エイチシー ラボ(HC LAB)」でマイクロプラスチック排出量の検査とマイクロプラスチックの削減認証「レスマイクロプラスチック(LESS MICRO PLASTIC)」をスタートした。同時に親会社の伊藤忠商事と協力し、1年をかけてマイクロプラスチックの排出量を50%削減したフリース生地の開発に成功。大手スポーツアパレルなどへの提案も開始する。担当者である伊藤忠ファッションシステム事業開発推進グループの河合秀彰氏は「繊維製品がマイクロプラスチック排出の大きな原因と言われてきたが、世界的にもこれまで明確な基準や認証はなかった。できることから取り組むことで、アパレル産業の環境負荷低減に貢献したい」という。
伊藤忠ファッションシステムは、ポリエステルなどの化学繊維の起毛素材を検査。脱落量の平均値を1平方メートルあたり0.53グラムと割り出し、「レスマイクロプラスチック」では、脱落量がその半分以下の0.25グラムのテキスタイルを認証する。山本氏は、「日本では脱落した繊維の9割は下水処理場などで除去されると言われているが、国や地域によってはそのまま海や川に流され、環境汚染につながることもある。まずは繊維製品自体のマイクロプラスチック排出を減らすことが、マイクロプラ削減の第一歩だと考えた」という。
生地の開発を担当した伊藤忠スポーツウェア課の山本直樹氏は「特殊な技術を使うわけではなく、糸や生地の組織など生地の設計で複数の要素を組み合わせることで成功にこぎつけた」という。開発に成功したのはポリエステルを使ったスポーツ・アウドドア向けのフリース素材だが、今後はブランケットなどにも広げる考え。
「エイチシー ラボ」は伊藤忠ファッションシステムが繊維大手のユニチカと協業し、ヒューマンセントリック”を掲げて2018年5月に東京・有明に開設した素材と衣服の検査機関になる。