エルメスジャポンは8日、「エルメス(HERMES)」丸の内店をリニューアルオープンする。丸の内店は1979年に日本初の店舗としてオープンし、2004年に現在の場所に移転した。「エルメス」の直営店はその土地とのつながりを大切にしており、店舗ごとに内装や取り扱いアイテムが異なる。2層からなる同店は内装に日本の伝統的な素材や技術を取り入れて、40年以上となるメゾンと日本のつながりを伝えている。
同店が位置するのは皇居にほど近い丸の内仲通り沿いで、石畳の並木道がヨーロッパの街並みを思わせる。印象的なのは自然光の扱い方で、日中は黒いファサード越しに取り入れる光がプリズムのように店内に注ぐ。2階は窓いっぱいに緑が広がり、静かな別荘を訪れたような印象を受ける。店舗デザインを担当したのはパリの建築設計事務所レナ・デュマ・アルシテクチュール・ダンテリユール(RDAI)で、彼らの目を通した日本の美意識が反映されたインテリアが見応えがある。
壁面の一部は左官職人による手作業で禅寺の石庭をほうふつとさせ、1階のラグの配色は、丸の内店周辺の自然や苔、石壁、木の幹などからイメージしたという。また、2階の床には竹を使用。可動収納式の間仕切りには職人の手すきによる和紙を用いるなど機能性と装飾が融合している。取り扱い商品は1階はホームコレクション、レザー、シルク、ジュエリーや時計に加えてサロンスペースを用意。2階にはメンズとウィメンズのプレタポルテやシューズをそろえる。
オープンを記念して7日には花を積んだ馬車が店舗周辺を歩き、スタッフが通りがかかった人に花をプレゼントしていた。ソーシャル・ディスタンシングを保つため、事前の告知はナシ。偶然通りかかった人は石畳に響く馬のひずめの音や荷台いっぱいの花に歓声をあげていた。