ファッション
連載 不易と流行のあいだ

菅付雅信連載「不易と流行のあいだ」vol.5 デジタル時代のショーの価値

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 ファッションという「今」にのみフォーカスする産業を歴史の文脈で捉え直す新連載。5回目はこれからのファッションショーのあり方を考える(編集協力:片山マテウス。この記事は、「WWDジャパン」2020年6月15日、22日号からの抜粋です)。

 今やファッションショーというと、「ああ、インスタグラマーがたくさん集まってスマホで写真撮っているイベントのこと?」と捉えている十代が大勢いるだろう。そのようにSNSがファッションショーの位置付けを劇的に変え、そして今度はコロナがついにその存在意義まで変えようとしている。今年7月開催予定のパリ・オートクチュール・コレクションが完全デジタル配信になるというニュースは、歴史の大きな転換点を感じさせるものだ。ファッションの最も貴族的かつ選民的な要素を象徴するオートクチュールのショーがYouTube化することは、ファッションショーの存在意義の根幹に関わる変化だろう。

 またコロナ・ショックはショーの回数も変えようとしている。「グッチ(GUCCI)」のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)がコレクションを年5回から2回に減らすと明言。ミケーレが語るには、この変化はファッション界を吹き渡る「新しい酸素」だという。私たちはマスク越しに「新しい酸素」を吸わないといけないようだ。

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