※この記事は2020年7月6日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
アナタに“チョイかじられる”覚悟はあるか?
先日、TikTokとマーケティングセミナーを開催させていただきました。「台頭するTikTokを、どう捉えればマーケティングに使えるの?」を考える3時間のオンライン。ご参加いただきました皆様、御聴講御礼申し上げます。
セミナーではTikTokの方に、Z世代についてお話いただきました。Z世代が夢中のショートムービー・プラットフォームTikTokの皆さんが、彼ら・彼女たちをどう表現するか気になりますよね?一言で言えば、“かじる”世代だそう。“丸かじり”ではありません、“チョイかじり”、いや“試食”くらい「ほんの一口」な世代です。
彼らは、不確実な時代を生きています。社会の主役になる数年~十数年先の世の中は、きっと、もっと不確実。だから1つに集中するのではなく、いろんなことに片足を突っ込み“保険”をかけたい世代だそうです。これには、ものすご~く納得。このメルマガで度々紹介しているyutoriの片石貴展CEO(Z世代よりチョイ上)は、古着テイストな洋服の製造・販売が軌道に乗ったら、今度はバーチャル・インフルエンサーの育成事業をスタート。2つの関連性は決して高くありません。「大きな、1つのボールに命をかける玉乗りピエロではなく、小さな、複数のボールを駆使するジャグラーみたいだな」と思った記憶がありますが、彼よりさらに若いZ世代はもっと小さく、たくさんのボールを同時に操っているのでしょう。だから“かじる”世代なのです。
そこでTikTokの方から、キツ~い一言が飛び出しました。「みなさんには、“かじられる”心構えがありますか?」です。
多くの業界人の答えは、きっとおそらく「NO」でしょう。私は、かろうじて「YES」(笑)。でも、「YES」と言えるようになったのは1年前くらい。サイトにアクセスしたら複数の記事を読んで欲しいし、できれば週刊紙の「WWDジャパン」や「WWDビューティ」も楽しんで欲しい。そのために、それぞれは一生懸命作らなくちゃならない。でも、インスタグラムのストーリーズで記事の抜粋を15秒だけ読んでお終いのユーザーも、私たちのお客さま。数多のメディアから、ウチを選んでくれるだけで有難いよね。今は、そう感じています。ちなみに、毎週挑戦しているYouTubeやインスタグラムのライブ配信(45~60分)の平均視聴時間は、弊社の場合、10分を越えれば「まずまず」です。これも“チョイかじり”が当たり前、という証拠ですよね?
みなさんは、いかがでしょうか?“チョイかじり”や“試食”ではなく、“丸かじり”や“堪能”されるためにコンテンツを準備していませんか?そして、一生懸命作っているのに“丸かじり”されないから、その挑戦がイヤになっていませんか?
これもメルマガでお話したと思いますが、例えば動画では「記憶・記録に残る映像」ではなく「消費される動画」を目指す心構えが大事です。4Kとか8Kじゃなくて大丈夫。スマホのカメラとリングライトで構いません。代わりに、たくさん撮って、いろんな編集に挑戦して、失敗しても「ま、そんなモンだよね」と割り切って次に進みましょう。そして私たちもオウンドメディア、インスタグラム、ツイッター、そしてTikTokと、いろんなコミュニケーションツールを“チョイかじり”感覚で試用・運用することが大事です。
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