※この記事は2020年7月2日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
怒濤の6月を振り返って
現地で起こっていることを伝えたい!と、6月はアメリカのBLM運動についての記事を重点的にピックアップしてお届けしました。
BLM運動は、アメリカでは新型コロナによる生活の変化や経済的ダメージに勝るとも劣らぬ勢いで、価値観の見直しを迫るムーブメントになっています。
そして今、多くの企業やブランドが「黒人の命は大切」というメッセージへの賛同に終わらず、「どうすれば、本心から差別に向き合っていると信じてもらえるか」に腐心しています。
そんな企業やブランドに対して、米「WWD」と同じグループ傘下のメディア「ソーシングジャーナル」の黒人女性エディターは「行動あるのみ」と一喝。そして「意思決定の場に多様性を」と提言しています(最初のリンク参照)。
こうした声はいろんな会社の内外から噴出しており、エスティ ローダーは社内メモで今後黒人の従業員の雇用率を上げると約束し、アディダスもアメリカ国内のすべてのポジションの30%を黒人とラテン系の人材にすることを目標に掲げました。決定権のあるポジションを白人が占め続ける限り、真のダイバーシティーにはなり得ません。それを推進するのは決定権のある白人でないとできないーーまさにそれに向き合うべき時が来ているのだと思います。
元従業員による人種差別の告発が問題視され、サステナブルなファッションをうたうリフォメーションの創業者兼最高経営責任者(CEO)が退任に追い込まれるなど、トップの交代にもつながっています。透明性が売りのエバーレーンでも人種差別問題が持ち上がっているなど、スタートアップもこの問題の渦中にあります。
そんな中、私が注目しているのがパタゴニアです。6月に女性CEOが突然退任して、後任が決まっていません。長年成長を支えてきた最高執行責任者が暫定的に指揮を取っているのですが、企業哲学も理解していて後任にふさわしいはずであるにもかかわらず、後任としては指名されていません。
米「WWD」は、「退任と直接的な関連性はないものの」としながらも、元パタゴニアのスタッフなどが多様性の欠如を指摘していることを伝えています(2番目のリンク参照)。環境保護とビジネスを両立させるこの唯一無二の企業が、次のトップとするのはどんな人物なのか。なんらかの意志が見える人事になるだろうと注目しています。
さて、6月は「プライド月間」でもありました。今年はBLM運動と融合して、より問題意識が強まった感があります。「プライド月間」の締めくくりにふさわしいインタビューをお届けしております。ハニー・ディジョンを知っていますか?(3番目のリンク参照)
盛りだくさんで怒濤のような6月でしたが、7月も海外からのさまざまなニュースや声を、チーム一丸となってお伝えしていきたいと思います。
VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。
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