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“ギーク&レトロ”な新生「グッチ」。プレ・スプリングの舞台はNYストリート
「グッチ(GUCCI)」は4日、ウィメンズの2016年プレ・スプリング・コレクション(クルーズコレクション)をニューヨークで発表し、このショーを観るために世界中から集まったファッション関係者の前でアレッサンドロ・ミケーレによる2回目のウィメンズコレクションを披露した。
会場は、西22丁目のレンガ造りの古いガレージ。ハイラインにほど近い話題のエリアで、トレンドセッターとして再構築中の新生「グッチ」に相応しい選択だ。フロントローには同じケリング・グループである「バレンシアガ」のアレキサンダー・ワン=クリエイティブ・ディレクターも姿を見せ、ニューヨークらしいムードを醸成した。
ユニークなのはその演出で、スタートと同時にシャッターが開くと、モデルが通りを挟んで反対側に建つビルから登場した。道を横断してから会場内に入り、古いカーペットを敷き詰めたランウエイの上を歩き、また道を渡って戻ってゆく。伊達眼鏡をかけて風に吹かれて歩く“ギーク&レトロ”なモデルたちは、タイムスリップをして2015年に迷い込んできたようであり、今そこにいる現代女性のようでもある。外から中へ、過去から現代へ。そのギャップがショーにドラマチックな印象を与え、新しい「グッチ」ウーマン像へとつながっている。
ファーストコレクションのイメージは引き続きだが、性差を超える“ノー・ジェンダー”スタイルは控え目で、男性モデルが着用していたのはメンズのプレ・コレクション。ウィメンズは、スカートルックを基本に、よりシックでリアリティーのある服が並ぶ。特徴はレトロで強い色使いと蜂やトンボ、虎といった動物モチーフだ。イエローゴールドの膝下丈プリーツスカートにレトロフラワープリントのスエット風トップス、グリーン×ピンク×ブルーのシフォンフリルドレス、昆虫柄を刺しゅうした総レースのドレスなど。ツイードジャケットのヘムに配した赤×緑のリブニットや、「GG」の文字が入ったパールのボタン使いなど、近くで見ると「グッチ」のアイコニックな要素が職人技により随所に取り入れられている。
ショーの後はバックステージが開放され、招待客たちは手持ちカメラで服やアクセサリーの写真を自由に撮ってまわった。漫画タッチなタイガーの刺しゅうや、富士山とタカと松のプリントスカート、ショッパー風バッグなど写真映えするアイテムが多いことに加え、コレクションルックを着たモデルがシャンパンを片手に気軽に撮影に応じ続けたことから、インタグラム上にはショーの直後から大量の写真があがった。そんなメディア戦略も新生「グッチ」のスタイル確立へとつながっている。