ファッションレンタル事業の先駆けであるレント・ザ・ランウェイ(RENT THE RUNWAY)は、ニューヨークにある旗艦店を含めた全店舗を閉店する。今後はオンラインを中心に地域ごとの受け取り・返却システムを活用していくという。同社はニューヨークのほかにもサンタモニカ、カリフ、シカゴ、サンフランシスコ、ワシントンに店舗を構えていた。これらの都市とマイアミにあるコワーキングスペースのウィーワーク(WEWORK)や百貨店ノードストローム(NORDSTROM)の一部にある返却拠点は残す。
ラグジュアリーブランドを中心に、ドレスやアクセサリーを購入するより手頃な料金でレンタルできるサブスクリプションサービスを提供する同社にとって、アメリカ全州に広がる新型コロナウイルスの打撃は大きかったようだ。ほかの米国内のファッション企業同様に、3月中旬に休業要請を受け店舗を一時閉鎖していた同社は、レンタルという業務上、オンラインでも衛生面での懸念からいっそう苦戦を強いられたという。さらに同社が扱うデザイナーズアイテムはパーティーや結婚式、卒業式など新型コロナ禍でキャンセルされた特別なイベントでの需要が高かったことも逆風となった。そのため、多くの定額サービスを契約しているロイヤルユーザーはアカウントを保留。また店舗の閉鎖により、同社は従業員全員を一時解雇した。正確な人数については言及していないが、情報筋によるとその後のさらなる一時解雇はないという。
アヌシュカ・サリナス(Anushka Salinas)=レント・ザ・ランウェイ社長兼最高執行責任者は、「実店舗の役割が受け取り・返却メインになっていたこともあり、ビジネス戦略の一環として閉店については長い間検討してきたが、パンデミックにより決断を早めた。私たちは“ニューノーマル”においても、顧客の生活の変化に合うよう取り組みを続ける。従来の購買体験から移行するためにすでに構築したテクノロジーを活用し、受け取り・返却とデジタル機能を強化して、より多くのメンバーにサービスを提供したい」と述べた。