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ナデージュによる新生「エルメス」が日本でパリコレを再現。東京国立博物館を舞台に
「エルメス(HERMES)」は8日、2015-16年秋冬ウィメンズ・コレクションのショーを東京国立博物館 表慶館で開催した。同ブランドは今季から、ナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキーがウィメンズのアーティスティック・ディレクターに就任。フランス国外でのナデージュによるコレクションお披露目は日本が初めてとなる。
表慶館は、1900年に当時の皇太子(後の大正天皇)のご成婚を記念して建てられた明治末期の洋風建築を代表する重要文化財。黒門を抜けた中庭には寄木細工の大きな馬を飾り、「エルメス」らしいクラフツマンシップでゲストを迎えた。
会場演出は、3月のパリコレを再現し、ほのかに木の香りが漂う寄木細工風の客席を用意。ファーストルックを着たグレース・ボールをはじめ多くのモデルがこの日のために来日し、松岡モナなど日本のトップモデルを加えて40ルックを披露した。会場美術は、フォーブル・サントノーレの「エルメス」ブティックのウインドウなども手掛けているアントワーヌ・プラトーによるもの。歴史ある建物とアートのような演出、最上質のリアルクローズが織りなすモダン・ラグジュアリーな世界を演出した。
シビュルスキーはこれまで「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「セリーヌ(CELINE)」「ザ ロウ(THE ROW)」などでキャリアを積んできた。控え目ながら印象に残るデザインは、巧みな素材使い、繊細な色合わせによるところが大きい。象徴的なのはファーストルックで、一見すると黒だが、実はネイビーのレザー使いの中に今季のテーマでありメゾンのルーツである“乗馬のスピリット”を織り込んだ。
“乗馬のスピリット”は、随所に見られる。鞍をモチーフにした大きなポケット、かつて貴婦人が馬車に乗る時に使用したというブランケット使い、ライディングジャケットのディテールなど。“フル・グレイン・レザー”と呼ばれる非常に上質なスエードとシルクスカーフの組み合わせなど、吟味された素材をワントーンで組み合わせて丁寧に世界観を作り上げる。その繊細さと奥深さは日本で見るとまた、一層味わい深い。
ショーの後のバックステージでナデージュは日本でのショー開催について「『エルメス』の仕事のオファーを受けた場所も実は日本。私にとって日本は素敵なストーリーの舞台なの。こうやって日本でショーを開くこともできたし、こんな関係がずっと続けばうれしい」と語った。
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