暑さが残る時期に、体を締めつけないワンピースは頼りになるウエアです。組み合わせに頭を悩ませずにすむ点でも、重宝で楽ちん。そして、ありきたりを抜け出す着こなしの決め手となるのが“靴”。足元を替えるだけで、トレンド感がアップします。
たとえば、ニューヨーク・ファッション・ウイークに登場したファッショニスタは、ロマンチックな花柄ワンピースのお供に、フリンジがどっさり付いたウエスタンブーツをチョイス。スタイリングの勘所は、フェミニンなワンピースをそのままの雰囲気で着ないで、別のテイストを靴で持ち込むところ。今回は2020年プレ・フォール・コレクションから、“知恵あり”なアレンジにフォーカスしてみました。
“スニーカー、スポサン”でストリートフェミニンに昇華
ワンピース姿に軽快なムードを与えてくれるのは、やはり白のスニーカー。どんなワンピースにもフレッシュ感を加えてくれるから、“とりあえず白スニ”的な使い方が可能に。ヘルシーな雰囲気が添えられるのも健康意識を高めたい時代のムードにマッチします。
「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」のワンピースはドッキングやアシンメトリーなど遊び心がたっぷり。足元に白スニーカーを選ぶことによって、ワンピースのデザイン性を生かしつつ、まとまりすぎるのを防ぐ好コーデに整いました。
ここ最近、出番がぐっと広がってきたスポーツサンダル(スポサン)。ドレッシーな装いとのマッチを試すテクニックも登場してきました。見慣れたサンダルよりもワイルドな気分を取り込めます。
「シー ニューヨーク(SEA NEWYORK)」のワンピースは、愛らしいパフスリーブがポイント。裾のティアードもたおやかな表情を生んでいます。その裾下に迎えたのは、やや武骨なスポサン。総柄のフェミニンワンピースとは真逆のスポサンで、タフネスにドレスダウンしてみせました。
“ローファー、ドレスシューズ”で、ハンサムフェミニンに味付け
クラシックなテイストを帯びた「紳士×淑女」風のジェンダーミックスでも、靴がキーピースになります。ワンピースに紳士靴を合わせるコーデは大人女性向きです。
「トリー バーチ(TORY BURCH)」が組み立てたのは、女っぽさとメンズ感が入り交じるミックスコーデ。斜めに流れ落ちるようなラッフルが印象的なワンピースに、トラッドの目印的なローファーを合わせて、ロマンチックと英国テイストを響き合わせました。
ミニマルなワンピースと、王道メンズシューズのマッチングは、中性的な雰囲気を濃くします。全体をモノトーンでまとめれば、さらに“ジェンダーフリュイド”なたたずまいに。
「ザ・ロウ(THE ROW)」のノースリーブワンピースは、オーソドックスに見えて、布の表情を引き出すディテールが繊細。内に秘めたセンシュアルなシルエットにあえてメンズ風革靴を迎えて、抑制的なムードを添わせました。
“ロングブーツ、ウエスタンブーツ”で、タフ&ドレッシーが共存
2020年秋冬はロングブーツがカムバックの兆し。柔らかい素材のワンピースにクールなブーツをぶつけて、足元からニュアンスをずらすコーデを試せます。
「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」のワンピースは、レイヤードのように見えるドッキング型。身頃を斜めに横切るジップ使いがアイキャッチーです。若干シースルーな裾に、ロングブーツを組み込んで硬質感をプラス。裾回りに複雑な雰囲気を醸し出しました。
やや癖の強いブーツを取り入れれば、足元から装いのイメージをプロデュースできます。ブーツを生かしやすい秋冬は、ウエスタンブーツをはじめコンバットブーツ、乗馬ブーツ、ワークブーツなど、それぞれに異なるテイストを呼び込めます。
「アリス アンド オリビア(ALICE + OLIVIA)」が打ち出したのは、1970年代ヒッピー風の装い。マルチカラーの総柄ワンピースは、フラワーチルドレンの奔放さを呼び覚ますかのよう。ベージュのウエスタンブーツを添えて、型にはまらない自由な雰囲気も印象づけ、さらにハットとのコンビネーションでウエスタン気分も強めました。
残暑シーズンから秋口にかけても、風が通りやすいワンピースは出番が途切れません。秋以降は、アウターで隠れない靴の印象度がさらに増すので、今年らしいシューズを引き合わせて、ワンピースコーデのテクニックに磨きを掛けてみてください!