広告のため1年の中で最も分厚くなり表紙も各雑誌が力を入れる9月号、通称“セプテンバーイシュー”でイタリア版「ヴォーグ(VOGUE)」は、さまざまな年齢、ルーツ、ライフスタイルを持つ人物100人を表紙に起用した。同誌史上初めての取り組みで、多様性と包括性のメッセージを伝えている。また表紙に登場した人物はそれぞれ、イタリア版「ヴォーグ」公式インスタグラム(@vogueitalia)で自身のライフストーリーを語った60秒の動画を公開している。
誌面では、劇作家ジェレミー・O・ハリス(Jeremy O. Harris)が書いたテキストを添えた、写真家タイラー・ミッチェル(Tyler Mitchell)によるBLM(Black Lives Matter=黒人の命は大切)運動に捧げるマニフェストが特集されている。さらに映画監督のマーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)とは、同氏が手掛けたジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)のドキュメンタリー「Made in Milan」の公開30周年を祝うインタビューも掲載している。
表紙を飾るのはモデルのシンディ・クロフォード(Cindy Crawford)、パット・クリーブランド(Pat Cleveland)、ドナ・ジョーダン(Donna Jordan)や、売れっ子モデルのカイア・ガーバー(Kaia Gerber)、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)、イリーナ・シェイク(Irina Shayk)、アレック・ウェック(Alek Wek)ら。
ほかにもモデルで活動家もあるベサン・ハーディソン(Bethann Hardison)や初めてヒジャブでランウエイを歩いたウグバッド・アブディ(Ugbad Abdi)、プラスサイズモデルのプレシャス・リー(Precious Lee)、「#MeToo」運動のキーパーソンであるキャメロン・ラッセル(Cameron Russell)とトリッシュ・ゴフ(Trish Goff)も登場する。
さらに社会的発信を続けるエミリー・ラタコウスキー(Emily Ratajkowski)やパロマ・エルセッサー(Paloma Elsesser)、LGBTQ+の権利啓発に力を入れるトランスジェンダーかつノンバイナリーモデルのインディア・ムーア(Indya Moore)や、エイジェンダー(無性)を自認するジュノ・ミッチェル(Juno Mitchell)らも起用。国際的な活動家や作家、写真家、アーティストなど幅広い人物が登場している。
同誌のエマニュエル・ファルネティ(Emanuele Farneti)編集長は、「100枚の異なる表紙を制作するのはこれが初めて。一人一人が主人公として表紙に登場し、年齢や外見、肌の色の異なる個人に捧げたものになっている。待ちわびていた層に焦点を当てたポートレートの数々だ。距離やさまざまな制約が加わった中で、フレッシュなスタートを切った」と述べた。