百貨店主要5社の2020年8月度業績は、1〜2割の減収だった。7月下旬にピークを迎え、以後も感染者数が高止まりする新型コロナ第2波の影響に加え、例年以上の酷暑が客足を鈍らせた。各社の業績は、三越伊勢丹が前年同月比29.1%減、高島屋が同19.2%減、大丸松坂屋百貨店が同25.7%減、そごう・西武が同8.8%減、阪急阪神百貨店が同26.9%減だった。
都心の大型店には客が集まらず、一方で食品など必需品に強い郊外・地方店がにぎわうという構図に変化は見られない。阪急阪神百貨店は、基幹店の阪急うめだ本店、阪神梅田本店の入店客数が前年同月の半分以下に落ち込んだ。「(新型コロナの)感染再拡大から年配層やファミリー層を中心に、都心を避ける傾向は再び強まっている」(同社広報)。売上高では郊外店11%減に対し都心店は31%減だった。
主力の衣料品売り場では秋冬物が立ち上がったが、依然苦戦が続く。三越伊勢丹は基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)で婦人服が同35%減だった。大丸松坂屋百貨店も42%減。一方で特選衣料・雑貨は全体的に好調で、三越伊勢丹、高島屋、そごう・西武は同カテゴリーにおいて前年同月実績超えを達成した。「夏休みの旅行控えなどで浮いたお金をお買い物に回していただいた」(三越伊勢丹広報)。大丸松坂屋百貨店ではゴールデンウイークから導入しているライブショッピングが奏功。「ブランド力があり、顧客の顔が見えている売り場は新作発売とともに買い手がついている。今後も強化していきたい」(同社広報)とする。
なお8月は、主要5社においてはそごう・西武が西武大津店(滋賀県)、そごう徳島店、そごう西神店(兵庫県)、西武岡崎店(愛知県)を閉店。高島屋の高島屋港南台を加えると、わずかひと月の間に計5店の百貨店が営業を終了したことになる。