ティンバーランド(TIMBERLAND)は9月1日、2030年までに製品作りにおいてネット・ポジティブ(プラスの成果を生む)になるという目標を発表した。これは、自然から消費した以上のものを自然に還元する製品作りをするというもの。この目標を達成するために、「循環型デザイン」と「環境再生型農業」を通してイノベーションを推進していく。
循環型デザインでは廃棄ゼロを目指し、ペットボトルやスクラップレザー、スクラップウールなど通常廃棄される材料を用いて製品開発を行い、使用後に再びリサイクルできるようにデザインする。
再生可能型農業では、商品に使用する天然素材の100%を環境再生型農業から調達する。環境再生型農業はありのままの自然を模倣して動物を放牧したりすることで、土地に休息と回復の機会を与え、自然界に見られる多様性を再現しながら、多彩な作物を確保する方法。これにより、大地が大気中から炭素を吸収して効率的に地中に蓄えることができるようになる。それにより土壌の構造が再構築されて健康で潤いのある肥沃な土地になり、最終的には土地と農家にポジティブな影響が及ぶというものだ。
ティンバーランドは米国、オーストラリア、ブラジルでリサイクルレザーのサプライチェーンの構築に取り組み、最近では環境保護団体のセイヴォリー研究所(Savory Institute)との提携を発表し、再生農業の具体的なメリットを研究するための資金を援助している。
この秋には、初となるリサイクルレザーを使用したブーツのコレクションを発表し、今後さらにスケールアップしていく。このレザーは、調達パートナーであるアザー・ハーフ・プロセシング(OTHER HALF PROCESSING)社を通じて、米国のサウザンドヒルズ・ライフタイム・グレーズド(Thousand Hills Lifetime Grazed)再生牧場から調達している。また目標を達成するために、レザーだけでなく、先駆的な再生農家と協力し、再生農業によるラバー、コットン、ウール、サトウキビの新しいサプライチェーンを試験的に構築することにも取り組んでいる。
コリーン・ヴィエン(Colleen Vien)=サステナビリティ ディレクターは、「現在の自然環境の悪化は、ファッションブランドとしての私たちにもその責任がある。何十年にもわたり、ティンバーランドは環境に及ぼす影響を最小限に抑えることに取り組んできたが、より積極的な対策を講じる必要がある。私たちは、循環型デザインと環境再生型農業に焦点を当てることで、サステナビリティを超えて今の状況を一変させ、自然がよりいっそう豊かになることに貢献するために、ネット・ポジティブな影響を及ぼすことを目指す。私たちはこの活動を通して業界全体を啓発し、未来を変えていく。自然はチャンスが与えられれば自らを修復し再生する本来の力を持っている。そして、今こそ私たちが手を差し伸べる必要がある。これが炭素を本来あるべき場所に戻し、最終的には消費した以上のものを土壌に還元するという2030年に向けたティンバーランドのビジョンだ」とコメントを発表した。