エスカーダ(ESCADA)は9月2日、本国であるドイツ事業の破産を申請した。同社によれば、グループ内のほかの事業はこの破産手続きに含まれていない。エスカーダ・ジャパンもこれまで通りに営業を続ける。
エスカーダは1978年にミュンヘンで創業。2009年に経営破綻してインドの大富豪ミッタル家によって買収されたが、経営状態は好転せず、19年11月には米投資会社リージェント(REGENT)によって再び買収された。なお情報筋によれば、ドイツ事業の資産の大半がすでに米国の持株会社に移譲されているほか、欧州で展開しているその他の事業は全て英国が拠点になっているという。
今回の破産申請によってドイツ国内での事業や小売りは大幅に規模を縮小することになるが、同社は「卸や小売りの運営、また生産などは今後もミュンヘンで行う」としている。
「エスカーダ」は百貨店を中心とした卸の比率が大きいため、コロナ禍の影響で打撃を受けたことは間違いない。しかし情報筋によれば、同社は以前から資金難に陥っており、リージェントによる買収後も公共料金や縫製職への給与の支払いが滞っていたという。また20年に入ってからは、北米の店舗について家主と合意に至ることができず、ビバリーヒルズ、ダラス、バンクーバーなどの店から締め出される事態となっていた。
情報筋によれば、エスカーダは09年の破綻以降は利益を上げられておらず、現在では1億ドル(約105億円)以上の損失を抱えているのではないかという。また同社のアイリス・イープル・リーギ(Iris Epple-Righi)前最高経営責任者や最高財務責任者などの主な経営陣は、同社がリージェントに買収された後に退任しているが、後任はいまだに決まっていないようだ。同社は、「将来の発展に向けて米国や英国事業およびECに投資しており、ラグジュアリーブランドとして引き続き運営を続けていく」と発表している。