「消費者の信頼と信用を得る鍵は“透明性”」――オーストリアの繊維大手レンチング・グループ(LENZING GROUP)が2020年上半期に世界9カ国9000人を対象に実施した、ファッションおよび家庭用繊維製品の原材料に関する消費者の意識調査で導き出した結論だ。同社は、市場調査会社ウェイクフィールドリサーチ(WAKEFIELD RESEARCH)を通じて中国、日本、韓国、インド、インドネシア、トルコ、ドイツ、イギリス、アメリカの9カ国の18~64歳を対象にオンラインで調査を実施。このほどそのレポートを発表した。
9000人の回答者が特に好印象を持つ言葉として「環境に優しい」「生分解性」「天然素材」「リサイクル可能」を挙げ、製品にこうした言葉が使用されていればより購入意欲が高まると80%以上が回答したという。環境に優しい衣類の定義については、「人道的で環境に配慮した製造工程で処理または製造された製品や、天然素材、オーガニック素材、植物素材で作られた製品」が第一候補として挙がった。
回答者の83%が成分を、82%が原材料を明らかにしているブランドを信頼できると考え、82%が製造工程、81%が環境に配慮した取り組み、82%が原材料の原産地を明らかにすることで信頼につながると回答。また、87%の回答者は購入を決定する際にブランドが環境に与える影響を知ることは非常に重要だと考えているという。
衣類、寝具、家庭用繊維製品の購入においては、70%の消費者が製造工程を調べることでサステナビリティの知識を得ており、85%の消費者が製品の品質表示タグを読んでいると回答。86%の回答者は、サステナブルな原材料で作られた衣類を購入することは環境に優しいライフスタイルを送るための重要な要素と考えており、サステナブルな原材料を80%が、リサイクル可能な素材を77%が積極的に選んでいると答えた。
さらにほとんどの回答者は、サステナビリティを反映した表示のあるファッションや家庭用繊維製品に平均で40%上乗せして対価を払ってもいいと回答したという。
「WWDジャパン」の意識調査でも環境への影響や製造背景に高い関心
「WWDジャパン」が8月4、5日の2日間にインスタグラムの公式アカウントから行った意識調査で約3000人から得られた回答でも同様の傾向がみられた。「自分が着ている服を誰が作ったのかを知りたい」の設問に対して89%が「はい」と回答。83%が「服の生産から廃棄までの環境に与える影響を知りたい」と考え、64%が服の製造背景について調べたことがあると回答した。これは弊紙が昨年11月に実施した同様のアンケートに比べて、生活者の環境や人権への意識が格段に高まっている結果となった。
“透明性”を高めるには地味な積み重ねと大変な労力が必要だ。けれどこの先も「選ばれる企業」になるためには、いまから少しずつでも取り組むべきことである。「WWDジャパン」は8月24日発売号を皮切りに毎月1回、ステップを踏んで“透明性”について解説する特集を組む。持続可能な企業になるためのヒントにしていただければと思う。