WWD:世界は今大変な状況だが、何を考えている?
ラミ・マレック(以下、ラミ):世界は少しずつ落ち着きを取り戻し、僕自身の仕事も少しずつ再び歩み始めている。これまでのように働くのは難しい状況だけれど、少しずつ変わって、早く全力でパフォーマンスできる環境を取り戻したい。一番悲しかったのは、コロナ禍で偉大な俳優、数多くのベストワークに出演してきた先輩方が亡くなってしまったこと。とても悲しいことだ。でも、僕らはそれに向き合わなくちゃならない。今はアーティストとして、映画やテレビ、劇場作品に出演できることに感謝したいし、みんなには作品を心から楽しんで欲しいと思う。
WWD:偉大な俳優の跡を継ぎ、業界を先導したいという思いが芽生えている?
ラミ:「ボヘミアン・ラプソディ」の成功は自信に繋がり、以降、俳優としても、人間としても成長したと実感している。今だってより多くを学んで成長したいと思っているし、さらにはエンターテインメント産業の発展も考えるようになった。今は産業を代表する、より良い俳優になれたらと思う。演じることは、これからも大事。でもそれ以上に、この産業を守りたい。
WWD:そんなポジティブマインドの秘訣は?
ラミ:無数のアーティストやクリエイターが、それぞれのゴールに向かって一生懸命働いている姿を見続けてきた。今はなおさらだ。何かを始めようとするとき、年齢なんて関係ない。スタートには、早いも遅いもない。アーティストのチャレンジを見続け、心の底からそう思えるようになったんだ。そこに自分の成功が重なり、今はエネルギーに満ちている。ポジティブマインドの秘密は、1つじゃない。全てが複合的に影響しているんだ。
WWD:そのエネルギーが、“パシャ ドゥ カルティエ”のアンバサダーに選ばれた理由の1つだ。
ラミ:「カルティエ」は、タイムレスなのにパワフルでクール。クラフツマンシップに基づくエレガンスはそのままに、他のブランドより一歩先を歩もうとする勇敢な一面も兼ね備えている。僕を含む新世代の5人をアンバサダーに選んだのは、メゾンのマニフェスト。伝統を守りつつ、前に進もうとする姿勢の表現だ。そんな公約を宣誓できるブランドと働けて、とても嬉しいよ。偉大な公約を宣誓できるメゾンで働く人々は、同様に偉大。そして、彼らとの仕事も偉大だ。メゾン、人々、仕事との関係性に感謝したい。