「WWDジャパン」は今号から、“ONE WWD”を掲げてファッションとビューティの週刊紙として生まれ変わる。双方のチームが組み一つのものを作り始めて思う。「なんて好奇心を刺激されるのだ!」。ファッションとビューティの2軸を持つ人・ブランドは強く、掛け算は小さなマジックを生む。私自身、知っているようで知らなかった景色をさっそく見ている。(この記事はWWDジャパン2020年9月7日号からの抜粋です)
一つの例は、伊勢丹新宿本店2階に展開中の「エルメス」のポップアップショップだ。同店は1階にも「エルメス」のブティックがあるが、ポップアップは若年層にタッチポイントを設けるのが狙いで、リップスティックの「ルージュ・エルメス」を核にスカーフやシルバージュエリーを販売している。ミレニアル層の新客を獲得し好調だ。「お客様はポーチに入れて持ち歩くことで高揚感を得られる小さな“オブジェ”とリップを捉えているようです」と伊勢丹新宿本店の大田彩MD統括部クロスMD営業部バイヤーは解説する。この“高揚感”こそ、掛け算によって生まれる一つのマジックだと思う。
振り返れば百貨店は何度もこのような、ファッションとビューティを融合したコーナーや、相互送客のサービスにトライしてきた。が、成功しているとは言いがたい。満を持してビューティに新規参入した「エルメス」の好調は、クロスMDが本格的に進む期待をさせる。もちろん、「エルメス」にはブランド力があり伊勢丹には集客力がある。だからと言って別格と考えるべきではなくむしろ、“高揚感”を生むその戦略は多くのアパレルやビューティ企業にとって研究に値する。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。