世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(写真キャプション中の円換算レート:1ウォン=0.09円)
世界で注目を集めているウエルビーングのトレンドだが、韓国も例外ではなくウエルネスブームが吹き始めている。今年の夏、ソウル駅近くにある人気の複合文化施設ピクニック(PIKNIC)にウエルネスライフスタイルショップ「レディ・トゥ・ウェルネス(Ready to Wellness)」がオープンした。健康的なライフスタイルを追求するトレンドセッターでもあるリリー・ベック(Lily Baek)=レディ・トゥ・ウェルネス代表が企画した新ショップは、環境への社会的な影響を意識し、“倫理的でサステナブルな暮らし”のコンセプトのもとウエルネス商品やクリーンビューティ、ファッション、ホームケア用品、セルフケアグッズなど、心と体を磨くアイテムを販売している。国内外のブランドとオリジナル商品が並ぶ店内は、ピンク色の内装がエキゾチックな雰囲気を醸し出している。
セレクトされているブランドは最先端のものが並ぶ。最近韓国のビューティ業界でトップトレンドともいえるのはビーガンだろう。さまざまなビーガンコスメブランドが生まれて注目度は日増しに上がっている。新ショップではビーガンコスメの代表的なブランドの一つである「メリキサー(MELIXIR)」を取り扱う。トナー、セラム、オイル、クリームのミニマルなスキンケアラインは男性からも評判が高い。発酵と精製を経たサトウキビ由来のスクワランオイルと、韓国の緑茶の産地である宝城(ポソン)のオーガニック緑茶葉の主な成分が、肌の保湿と炎症の鎮静に効果が期待できると評価されている。同ブランドはパッケージにもFSC認証取得の素材を使用している100%ビーガンコスメブランドだ。アイテムのラインアップはコスメだけでなく歯磨き粉やデリケートゾーンのクリーナー、さらにはコンドームなどもあって充実している。
もう一つ注目すべきは「レディ・トゥ・ウェルネス」のオリジナル商品だ。韓国産の竹を使い天然成分でコーティングしたバンブー素材の歯ブラシ、フェイシャル&ボディーケア、ヘアケア、ペットケア、皿洗い用のプラスチックフリーのせっけんなど、ウエルネスの哲学を伝えるスマートな商品を提案しているのが特徴だ。
そのほか多種多様なブランドのサプリメントやプロテインバー、お茶、書籍、お香、ファッションアイテム、器などウエルネスライフを楽しむさまざまなアイテムをそろえ、また陶芸作家とのコラボレーションアイテムを企画するなど新しいウエルネス提案を積極的に行っている。長期化する新型コロナウイルスの感染拡大の影響により現在の取り扱い商品は韓国ブランドが8割を占めるが、社会情勢を見ながら国外ブランドを含めて幅広いジャンルの商品を販売していく予定だ。
チョン・ジャキョン:フリーランスコーディネーター兼ライター。ソウル生まれ。アート関連会社と映画制作会社の演出部を経てメディアコーディネーターに転職。雑誌を中心にテレビ、広告、スポーツなど幅広い分野で活躍。携わった書籍は「ソウル美容完全ガイド」(講談社)など多数