※この記事は2020年7月15日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
「2回表」な状況下でのデジタル・ファッション・ウイーク︎︎
現在進行形のデジタル・ファッション・ウイーク、見せる側も、見る側も試行錯誤が続いています。例えば見せる側は、「ドリス ヴァン ノッテン」や「トム ブラウン」など、映像では1ルックしか見せてくれないブランドも多数。正直「で、なんだったんだ~⁉︎」と思うことも、なくはないのです(笑)。ただ実店舗とEC同様、もはやリアルなランウエイショーとデジタルプレゼンは比較するものではないでしょうから、「どうして、こうなったんだろうね⁉︎」とワクワク、時々モヤモヤしながら妄想するのが正解でしょう。
見る側、まず私たちメディアのお話をすれば、「トレンドを見極めるのが難しい」問題が浮上しております。まぁトレンドなんて、もはや「あるようでないようである(苦笑)」程度のモノですが、上述の通り拝見するルックの数が激減する中、油断すると映像に目を奪われがちで、洋服をじっくり、を忘れています。トレンドを導くには、もう一回写真をじっくり見る時間が必要です。
一番深刻なのは、バイヤーですね。素材感を筆頭に、買い付けの参考になる情報が少なすぎる‼︎私たちがLIVEでお送りしているコレクション振り返りプログラム「着点」でご苦労を伺っておりますが、実に大変そうです。Zoomで素材をアップにしてもらったり、PCやスマホでも分かる色やモチーフに主眼を置いたり(それは、ECシフトしていくであろう販売においても有効であろうという判断です)、試行錯誤は続きます。デジタルに不慣れ、だけど影響力のあるバイヤーさんは、「消費者はECで買った商品を返品できるんだから、私たちも買い付けた商品キャンセルできるのよね?」とブランドに迫っているそうで、「コワい‼︎」と慄きつつも、「確かに‼︎」とも思えます(笑)。いや、当事者の皆さんにとっては笑い事では済まされませんね)。
現状、問題はすぐに解決しそうにありません。ただ新型コロナウイルスとの戦い(共存⁉︎)について、北海道大学の西浦博教授は、野球で例えるなら「2回の表でコロナウイルスが攻撃中」という状況と言います。リンク2本目の記事通り、朝日新聞社はミラノ・ファッション・ウイークの映像に関する独占配信を来年2月まで行うそうです。「みんながすぐ、海外に行けるようにはならないよね」という判断が働いているのでしょう。だとしたら、次回に向けて!ブランドの皆さん、まずは主要取引先には素材の見本を送りましょう。それがあるだけで、全然違うみたいです。
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