※この記事は2020年7月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
アットコスメトーキョーで感じた化粧品小売りカテゴライズの崩壊
先日遅ればせながら、初めて原宿駅前にできたアットコスメトーキョーに行きました。「行こう、行こう」と思いつつなかなか行けずにいたのですが、この間ようやく、表参道で髪を切った帰りに寄ることができました。率直に感想を言うと「楽しい!」の一言です。「こりゃ、若い子は行きたいと思うだろうなぁ」と思う仕掛けがたくさんありました。
土日だったので店内はかなり混んでいて、入店する前から期待が高まりました(テスターが触り放題なのは少し懸念事項ではありますが、コロナ対策はしっかりしていました)。圧倒的なブランド数・製品数はもちろん、田中みな実さんが愛用するコスメや石井美保さんが推奨する“こすらない洗顔”にぴったりな洗顔料、さらにはクリーンビューティアイテムを集めたコーナーがあったりと、“バズりキーワード”をもとにアイテムをディスプレーしていたことにも、素直に「さすが!」と思っちゃいました。
終始ワクワクしながら店内を楽しませてもらいましたが、帰りの電車では、変わりゆく化粧品リテールに対して頭の中がグルグル......。中でも思ったのは、化粧品の小売りによる“カテゴライズ化”ができなくなってしまっているということ。弊社の編集部もドラバラ(ドラッグストア・バラエティストア)担当、外資総合ブランド、国産総合ブランドと担当を分けていますが、アットコスメトーキョーではプチプラブランドと同じ売り場に百貨店ブランドがあり、美容機器、韓国コスメ、オーガニックコスメも全部ごちゃ混ぜで入っています。考えてみると私もそうですが、今の若い子はドラッグストアでもセミセルフでもコスメを買うし、いわゆる“バズり”コスメも中国コスメからオーガニックまで多岐にわたりますよね。
そんな今は「プチプラコスメ=安くて使いやすい」「百貨店コスメ=おしゃれ、高級」というカテゴライズ化もできなくなるのではないでしょうか。正直、コスメにそこまで詳しくない人がアットコスメトーキョーに行ったら、どれが百貨店ブランド・ドラバラブランドで、さらにはどれが国産・外資なのかも分からないだろうな、と思いました。もちろん、百貨店やドラッグストアは存在し続ける限りはそういった特徴はあるとはいえ、若年層を筆頭に消費者にとっては、アットコスメトーキョーやECで全てが同列に扱われていると、“百貨店コスメ”といったくくりはもう関係ないなーーと。価格帯も、売られているところも、昔に比べて区別はないですよね。
そうなるとブランドの個性だったり、製品の質、さらにプロモーション方法がますます重要になってくるのではないでしょうか。リテーラーの隔たりがなくなることによりある意味競争が激化した中で、各社は差別化を重要視すると同時に、苦心もするのではないかと思います。でも見方を変えると、みんな同じ“プレーイングフィールド(競争の場)”となるから、誰でもチャンスがあるのでは?ほかの業界ではなかなか見られない現象かと思いますが、だからこそ新たな発想や動きが生まれるのではと、楽しみでもあります。
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