コロナ下の今、あらためて話を聞きたいファッションデザイナーが「サカイ」の阿部千登勢だ。なぜなら「サカイ」が21年前のブランド設立時から掲げてきたコンセプトが「日常の上に成り立つデザイン」だから。パンデミックにより、私たちの日常が一変した今、彼女自身はどんな“日常”を過ごし、「サカイ」のデザインと向き合っているのだろうか?8月下旬に東京・南青山のオフィスを訪ね、主に2021年春夏メンズコレクションについて話を聞いた。(この記事はWWDジャパン2020年9月7日号からの抜粋です)
正直、インタビューは冒頭からやや拍子抜けで始まった。阿部千登勢「サカイ」デザイナーは、4月に緊急事態宣言が発令されたころから約1カ月半、主に自宅で仕事をしていたという。しかし“日常生活はどう変わり、仕事にどのような影響を与えたか?”というこちらの質問に対して返ってきた答えは「デザインすることに変わりはないかな」であった。こちらは新型コロナはデザイン活動に影響を与えたに違いないと踏んでいたし、正直言えばそれを期待すらしていた。だが阿部は「手洗いするとか、人に会わないとかは人並みに気をつけているけれど。デザインすることは変わりません」と続ける。「外食などは減ったけれど、そのことはデザインするにあたってはそれほど大切なことじゃない。私は仕事が大好きなので、その環境さえ守ることができれば大丈夫なんです」と言う。
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