今年1月に史上最年少18歳で「第62回グラミー賞」の主要4部門受賞を含む5冠の快挙を成し遂げた、アーティストのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の存在は記憶に新しいだろう。その若き才能溢れるビリーを輩出したレーベルのダークルーム(Darkroom)が次に推す新人、オリバー・マルコム(Oliver Malcolm)をご存知だろうか?彼は元々、音楽プロデューサーとしてキャリアをスタートし、今年2月に「Switched Up」でアーティストとしてのデビューを飾った。作詞作曲から楽器演奏、MV製作まで、全てを自身でプロデュースする“100%マルコム産”のサウンドは、ユニークかつオリジナリティーに溢れており、一つのジャンルの型にとどまらない。そんな彼に音楽を始めたきっかけから、最新曲「The Machine」で表現したこと、ファッションのこだわりまでを聞いた。
WWD:音楽を始めたのはいつ?
オリバー・マルコム(以下、マルコム):12歳からDJを、13歳から楽曲プロデュースを始めた。初めて演奏した楽器はギターで、それからすぐにキーボードを弾くようになった。メインで演奏するのはキーボードだけど、ギターとベースも弾くよ。
WWD:プロデューサーからキャリアをスタートした後、アーティストとしてデビューしたきっかけは?
マルコム:スタジオでほかのアーティストと楽曲プロデュースをしていた時に、思考錯誤をして進める曲作りの過程を間近で見たことがきっかけだね。自分が子どもの頃から聞いてきたアーティストとの楽曲制作を通して、人間としても成長することができたし、自分のアーティスト性を表現していく自信を得たんだ。
WWD:作詞作曲からMV制作まで、全てを自身でプロデュースする理由は?
マルコム:僕は自分のビジョンを実現することに関しては、細かい所まで管理したいんだよね。自分で手掛けることで、頭の中に浮かんだものを確実な形にできるから。
WWD:影響を受けたアーティストは?
マルコム:エミネム(Eminem)、ドクター・ドレー(Dr. Dre)、50セント(50 Cent)。この3人は僕が音楽に夢中になる土台を作ってくれた。
WWD:最新曲「The Machine」のMVは、アップテンポの曲調に、ユーモア溢れるダンス・ステップが印象的でした。どんなことを表現した?
マルコム:僕にとって、ダンスは音楽同様にクリエイティブな表現の1つ。自分が何をやっているかではなくて、それをやっている時に自分がどう感じているかが重要。自分がいいと感じたら、それはいいってことだから。僕のダンス・ステップに気づいてくれて、ありがとう(笑)。
WWD:同MV内でも、全体に落書きのようなタッチでスケッチされた「バーバリー」のトレンチコートを身にまとっていたが、自身の好きなスタイルはある?
マルコム:その日の気分だとか、その時にインスピレーションを受けているものによってファッション・スタイルはいつも変えているよ。「バーバリー(BURBERRY)」のコートは、間違いなくジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)からインスピレーションを得ている。バスキアはトレンチ・コートに自分で絵を描いて着ていた。僕は服装のインスピレーションをさまざまな所から得るのが好きで、結局のところ、自分が目にした好きなものを組み合わせて着ている。
WWD:好きなブランドは?
マルコム:好きなブランドは特にないね。最近は古着屋で安い服を買うことに並行して、自分で洋服を作ることが増えてきた。
WWD:自身が参考にしているファッションアイコンはいるか?
マルコム:特にファッションアイコン的な人はいないけど、間違いなくミュージシャンや画家、クリエイター達から影響を受けてきた。特に、バスキア、ザ・クラッシュ(The Clash)、ボブ・ディラン(Bob Dylan)、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)からね。
WWD:今後、EPやアルバムを発売する予定はある?
マルコム:うん。EPをもうすぐ発売予定で、現在はデビュー・アルバムを制作中。
WWD:ライブ公演も視野に入れている?
マルコム:もちろん。世界一のライブを作り上げたい。
WWD:来日経験は?
マルコム:ないよ。近い将来ぜひ行ってみたいと思っている。
WWD:今後の目標は?
マルコム:愛、健康、幸福、そして世界平和。