「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」などを傘下に持つタペストリー(TAPESTRY)の2020年6月通期決算は、売上高が前期比17.6%減の49億6140万ドル(約5259億円)、営業損益は前年の8億1970万ドル(約868億円)の黒字から5億5080万ドル(約583億円)の赤字に、純損益は同じく6億4340万ドル(約682億円)の黒字から6億5210万ドル(約691億円)の赤字となった。
ブランド別の売上高では、「コーチ」が同17.4%減の35億2570万ドル(約3737億円)、「ケイト・スペード ニューヨーク」は同15.9%減の11億4950万ドル(約1218億円)、「スチュアート・ワイツマン」は同26.5%減の2億8620万ドル(約303億円)だった。
20年4〜6月(第4四半期)で見ると、売上高は前年同期比52.7%減の7億1480万ドル(約757億円)となっており、新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けていることが分かる。一方で、ECは前年同期のおよそ3倍の売り上げとなるなど好調で、北米ではデジタルチャネルを通じて新たな顧客を100万人近く獲得したという。また中国本土での売り上げ成長率が再びプラスに転じたこともあり、在庫は同5.3%減となった。
ジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)暫定最高経営責任者(CEO)は、「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という危機的な状況の中でも、第4四半期は当初の予想を上回る結果となった。これは当社の傘下ブランドの強さと、急激に変化する小売り環境に柔軟に対応できたことによるもので、大変誇らしく思っている。当社が今後さらに成長できるかどうかは、私たち全員にかかっている。部門間の垣根を取り払って互いに協力しあい、データ分析などをさらに進めて、より迅速な意思決定ができるようにしていく」と語った。
タペストリーは20年6月末の時点で1509の直営店を運営しており、現在はその大半が営業を再開している。しかし店舗の統廃合や最適化を進める戦略の一環として、同社は欧州、日本、オーストラリア、マレーシアにある「スチュアート ワイツマン」の直営店を閉じることを決定。日本では伊勢丹新宿本店、三越銀座店、阪急うめだ本店の3店舗を運営していたが、いずれも8月で閉店となっている。同ブランドが日本市場から撤退するのはこれが2度目で、13年にGRIジャパンが日本代理店を務めて日本に上陸したが撤退。15年にコーチ(現タペストリー)の傘下に入り、18年に日本再上陸を果たしていた。
なお、7月にはジデ・ザイトリン(Jide Zeitlin)=タペストリー前会長兼CEOが、07年に女性を誘うためにフォトグラファーを装ったという疑惑が表面化したことを受けて辞任している。