J.フロント リテイリング(JFR)とパルコは、11月後半に開業する大阪の「心斎橋パルコ」の概要を発表した。旧大丸心斎橋店北館(地上14階・地下2階)の16フロア約4万平方メートルに、ラグジュアリーブランド、デザイナーブランド、フード、カルチャーまでバラエティーにとんだ170店舗が入る。昨年11月に建て替え開業した渋谷パルコで評価を得た事業モデルを移植し、渋谷と名古屋に並ぶ基幹店に発展させる。年間テナント取扱高220億円を計画する。
昨年11月に建て替え開業した大丸心斎橋店本館に隣接し、ほとんどのフロアが接続する。16日にオンラインで会見したJFRの好本達也社長は「大丸心斎橋店本館と合わせれば8万平方メートル。冒険性の強いパルコと百貨店が融合されて、JFRにしかできない商業施設になる」と胸を張った。
1〜2階には「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「サカイ(SACAI)」「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」「バーバリー(BURBERRY)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「アンダーカバー(UNDERCOVER)」「カラー(KOLOR)」などが入るほか、ポップアップのスペースも設置して開業時は「ウブロ(HUBLOT)」を展開する。3〜6階はセレクトショップや個性的な服飾雑貨、クリエイティブなワーキングスペースの「スキーマ(SKIIMA)」が営業する。6階はキャラクターグッズ、7階は1フロア丸ごとの「無印良品」、8階はスポーツ関連、9〜11階には3層の「東急ハンズ」やインテリアショップなどで構成する。地下鉄の心斎橋駅と直結する地下1階は食物販やコスメ関連。地下2階で個性的な飲食店を集積した「心斎橋ネオン食堂街」と、13階のレストランフロア「御堂筋ダイニング」は来年1月にオープンする。
渋谷と同様にターゲット層をファッションに敏感な世代からカルチャーを求める人、ファミリー客まで幅広く設定した。パルコの牧山浩三社長は「(当初は)渋谷の成功によって『ぜひ心斎橋に出店したい』という声をたくさんいただいた」と話す一方、「今年に入ってコロナの影響で、小規模な飲食店からはキャンセルも出た」と明かす。飲食の2フロアの開業がずれ込むのもそのためだ。ステイホームの浸透を受けて一部のゾーンをインテリア関連に修正したりもした。
訪日客に人気だった心斎橋エリアはコロナの逆風にさらされており、JFRの好本社長も「(グループの中で)大丸心斎橋店が最も影響を受けている」と認める。長期的には訪日客の回復を視野に入れながらも「まずは地元の皆さんに支持される本来の姿を確立する。一番厳しい店が一番のチャンスを与えてもらったと思う」と話した。百貨店とパルコの融合の成功モデルを磨き、この後、再開発を控える名古屋・栄のプロジェクトにも生かす。