ファッション

ユニクロが服を回収し再利用する“RE.UNIQLO”を始動 循環型モデル構築で「社会インフラブランド」へ

 ユニクロは、客から不要になった「ユニクロ(UNIQLO)」の商品を回収し、新しい商品に生まれ変わらせるイニシアチブである“RE.UNIQLO”を開始する。今後、戦略的に世界で“RE.UNIQLO”を打ち出し、ユニクロ独自の循環型モデルを構築。それによって、「単なる生活インフラではなく、社会インフラブランドになる」(遠藤真廣ファーストリテイリング ソーシャルコミュニケーションチーム統括部長)ことを目指す。“RE.UNIQLO”の第1弾商品として、回収したダウン商品を再利用した“リサイクル ダウンジャケット”を11月2日に発売する。

 「全世界に2000以上の店があるわれわれがお客さまの不要になった商品を店頭で回収し、新たな商品に作り変えていくことで、(環境破壊などの)社会課題を解決することができる」と遠藤部長。コロナ禍を経て、持続可能な成長を求める意識が客や社会の中で飛躍的に高まったと感じているという。「究極の循環型リサイクルモデルをお客さまの協力を得ながら自社のサプライチェーンの中で作っていき、結果的に資源使用量や二酸化炭素排出量、廃棄物の削減を目指す」。

 ユニクロでは、2019年9月に“ウルトラライトダウン”の国内店舗での回収を開始し、20年3月までに計62万点を回収した。同時に、戦略パートナーである東レと組んで、回収した商品のダウンやフェザーを自動で分別する技術を開発。その背景を生かし、11月に発売する“リサイクル ダウンジャケット”を企画した。価格は7990円と他のダウン商品と同水準に抑えている。「(新品の商品を作るよりも)リサイクルのために多くのコストはかかっている。しかし、その分を価格に転嫁せず、新技術を開発することで解決していくのがわれわれの使命。回収量が増えればその分コストメリットも出てくるはずであり、まずは再利用のためのサイクルをお客さまとともに作っていくことが重要」と齋藤源太郎ユニクロ グローバル商品本部MD部長は話す。

 昨年は国内のみで行ったダウンの回収を、今年は世界21の国・地域の店舗に拡大する。国内では、9月下旬からクーポンキャンペーンと共に打ち出す。また、ダウン以外のアイテムでも、今後同様の企画を検討中という。

 柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は、19年8月期決算会見で「サステナブルであることはすべてに優先する」と宣言しており、サステナビリティの推進は同社の最優先課題の一つ。ユニクロでは“RE.UNIQLO”とは別に、06年から全商品リサイクル活動も実施しており、19年8月末までに22の国と地域の店舗で9079万点を回収、NGOなどを通じて難民や自然災害被災者に寄付するなどしている。また、ペットボトル由来の再生ポリエステル素材を使用した“ドライEX”のポロシャツやフリースなどの開発も進めている。

 
 

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