伊セレクトショップのアントニオーリ(ANTONIOLI)は、7月からブランドの売却先を模索していた「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」を買収した。これによりアントニオーリは、同ブランドのアーカイブや本社、アントワープの旗艦店、パリのショールームを取得する。買収額などは明らかでない。また同ブランドの大株主であったアン・シャペル(Anne Chapelle)最高経営責任者(CEO)もこれを機に退任する。後任は未定だ。
新しいオーナーになったクラウディオ・アントニオーリ(Claudio Antonioli)は、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」などを傘下に持つニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)の共同創立者でもある。自らの名を冠したブランドの創設者であるアン・ドゥムルメステールは声明の中で、「アントニオーリはブランドの立ち上げ当初からの“旅仲間”であった。この新しいスタートをうれしく思い、応援する。ブランドは新鮮なエネルギーで満たされるだろう。これからが楽しみだ」と喜びを表現した。2013年にデザイナーを辞任しているアンの関与についてアントニオーリは、彼女がこの取引に深く関わっていることを示唆しながらも「詳細は今後明かしていく」と電話でのインタビューでコメントした。なお7月の段階ではアンの復帰の可能性は否定している。
アントニオーリは、「アイテムを店舗で取り扱うだけでなく、私自身がブランドを愛用している。私の人生に最も大きな影響を与えたブランドだ。売却先を探していると知ったとき、すぐにアンに連絡して手伝ってもらった。売上高目標は持っていない。ゴールは私の愛するこのブランドを美しく守り、残していくこと」と述べた。今後の方針については、「CEOの役職には別の人物を考えているが、まだ何も決まっていない」とコメントした。
7月には同ブランドのセバスチャン・ムニエ(Sebastien Meunier)=クリエイティブ・ディレクターが退任を発表しており、後任はまだ公表されていない。新体制でのコレクションは21年3月に行われるパリ・ファッション・ウイークでの発表を計画しているという。