JR西日本SC開発は、JR大阪駅直結のファッションビル「ルクアイーレ」6階に初のアウトドアゾーン「ルクア アウトドア フロム アルビ」を18日に開業した。JR大阪駅の改良工事に伴い、8月30日に閉館した高架下の商業施設「アウトドアのアルビ」の売り場を引き継ぐもので、8店舗が移転し、約1560平方メートルに計10ブランドが出店する。
企画部担当部長の福本一成氏は開発の狙いについて「JR大阪駅ビルのアウトドアゾーンはギャレ大阪から始まり、30年の歴史がある。アルビ時代からのアウトドア愛好者に加えて、アウトドアにはなじみのなかった人もマイペースで楽しめる売り場を提案していきたい。これからアウトドアにチャレンジしたいファミリー層や生活の一部としてアウトドアを取り入れたい人も新たなターゲットと考えている」と話す。
注目はアルビから移転してきたキャンプ用品ブランド「スノーピーク(SNOW PEAK)」と釣り道具メーカーのティムコが展開するアウトドアウェアブランド「フォックスファイヤー(FOX FIRE)」とのコラボショップ。両社は2019年4月に資本業務提携契約を締結しており、提携後初の直営コラボショップとなる。キャンプフィッシングをコンセプトに、「スノーピーク」のアウトドア用品とウエア、「フォックスファイヤー」のアウトドアウェアを中心に展開する。店舗中央ゾーンには、キャンプフィッシングシーンを演出。釣りの初心者向けに両社で共同開発したエントリーパック(税込4万4000円)も販売する。「キャンプと釣りを融合した専門店は珍しいと思う。フライフィッシングは釣りの中でもハードルが高いイメージがあるが、キャンプと合わせて提案することでファンを増やし、キャンプ市場の裾野も広げていきたい」と同店の雨森良太店長は話す。
新規導入したブランドは、米ポートランド発のアウトドアブーツブランド「ダナー(DANNER)」と、焚き火用ギアに特化した広島発のブランド「野良道具製作所」の2ブランド。「ダナー」は2012年にエービーシーマートが子会社化し、大手セレクトショップでも展開してきたが、初の直営店での出店となる。
関西初出店の「野良道具製作所」には、里﨑亮代表のキャンプ体験から生まれた実用的でユニークな焚火ギアが並ぶ。出店の狙いは「市場動向のリサーチと認知度アップのため。集客力のある都心の駅ビルに出店することで幅広い客層の声を商品企画や売り場づくりにフィードバックしたい」と話す。
アウトドアゾーンの入り口には、初心者の悩みに答えるためのQAボードを設置。悩みを書いて貼っておけば、アウトドア愛好者や売り場スタッフがアドバイスを回答するほか、インスタグラムの公式アカウントでもシェアされる。さらに、ワークショップなど気軽に参加できるイベントを開催し、ルクアの主要顧客である20代後半から30代のエントリー層にアピールしていく。
梅田エリアでは、19年11月に開業した大型商業施設のリンクス梅田に石井スポーツの大型店がオープンしたほか、グランフロント大阪でも今秋、アウトドアスポーツゾーンが拡大。近年のアウトドアブームを追い風に新設売り場が増え、競合が激化しつつあるが、「アウトドアの集積が増えればさらに盛り上がるので歓迎したい」(福本部長)と話している。