女優の泉ピン子がファッションブランド「キングリーマスク(KINGLYMASK)」とコラボレーションした。メディアからは“シャネラー”と呼ばれていたし、泉自身も「世界中の洋服は着つくした」と豪語するほどの洋服好きで知られるが、意外にもファッションブランドとのコラボは初めて。細かい部分までこだわったというギンガムチェックシャツ(9980円)をはじめ、ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」で演じる小島五月のフォトTシャツ(4980円)や“PINKO IZUMI”と描かれたグラフィックTシャツ(3980円)、トートバッグ(2980円)、マスク(1980円)など、ユニークなアイテムをラインアップし、9月19日11時から「キングリーマスク」の公式オンラインショップで予約販売を開始する。コラボレーションの背景やファッション遍歴、そしてコロナ禍で変わってきたという価値観など、これまでほとんど語ってこられなかった泉ピン子のファッション観に迫る。
WWD:ファッションブランドとコラボした感想は?
泉ピン子(以下、泉):声がかかってびっくりしてますよ。原宿にある(「キングリーマスク」の)お店にも行かせてもらったんだけど、今はなかなか行かない場所じゃない。ちょうどコロナで人出は減っていたんだけど、おもしろかったわ。自分の名前を出すなら品質にもこだわりたいから、お店の商品を何点か買って帰ったの。最初は疑ってかかったんだけど、値段の割に洗濯してもヨレないし、色落ちもないので本当にいいわね。だから最近は「キングリーマスク」のTシャツばかり着て、犬の散歩とかしていますよ。
WWD:“シャネラー”とも言われていましたが、ピン子さんのファッション遍歴を教えてください。
泉:私ね、「ヴェルサーチ(VERSACE、現在はベルサーチェ)」を最初に日本に入れた女よ?(笑)東京プリンスホテルの地階に「ピサ(PISA)」(高級ブティック)ってお店があったの。そこのオーナーに「『ヴェルサーチ』入れてくれない?」って言ったのが最初。最初に買ったのは大小のチェックをミックスした2ピースね。若い頃からミラノに行ったときは「アルマーニ(ARMANI)」に行って自分のサイズに合う服は端から端まで買ったり、ほとんどのラグジュアリーブランドのクロコダイルのバッグも買った。「プラダ(PRADA)」でナイロンバッグを買ったこともあるんだけど、それも当時は日本で持ってる人なんていなかったわね。若い頃、友達に「これは似合わないとかこれは着ないとか、そういうことを言い出したら老けた証拠よ」って言われたのが鮮明に頭に残ってるの。だからパッと見ていいなと思ったら今でも買っちゃうわね。“シャネラー”とも言われたけど、本当にたくさんのブランドの洋服を着ていたから「やめてよ、他にもたくさん着てるわよ」と思ってたわ(笑)。
WWD:コロナ禍でファッションの価値観は変わりましたか?
泉:そうね。もう高いバッグや洋服は必要ないんじゃない?「ルイ・ヴィトン」も「シャネル」も閉まっているパリの様子を見てそう思いましたね。もう洋服にお金をかける時代は終わったのかも。だから、これを機に服やバッグの断捨離をはじめて、マネージャーの家族にあげたり、着物も全部坂本冬美にあげたの。それで残ったものを見たら全部“使い勝手がよいもの”だったんですよね。
WWD:コラボアイテムの仕上がりを見てどうですか?
泉:デザイナーの佐藤(秀樹)君のアイデアもあって、とても気に入っています。五月のTシャツ、最高でしょ?“PINKO IZUMI”って書いてあるTシャツなんて、逆さにしても“PINKO IZUMI”って読めるの。ナイスアイデアよね。
WWD:今着ているギンガムチェックのシャツもこだわったそうですね。
泉:若い頃からギンガムチェックが好きだったの。だからギンガムチェックの生地を使いたいとリクエストしました。ユニセックスで着てもらいたかったから丈の長さやボタンの位置にもこだわって。女の子は上まで閉じてもかわいいし、男の子にはオープンカラーで着てもらいたいわね。あとは、エコバッグも。レジ袋も有料になったし、エコバッグって大事じゃないかなと思って。
WWD:ファッションに関して、若い人にメッセージを送るとしたら?
泉:今しかないおしゃれをしなさいってことね。私の若い頃は髪の毛を染めたら怒られていたし、何センチじゃないとダメとか、そういう時代だったの。私もみゆき族だったから好きな格好をして、めちゃくちゃ怒られた。おしゃれのために丈の長い洋服を着て、真夏に長袖を着て歩いていたら、うちの親に「お前どうかしたのか?」って言われたから。今の若者は本当に好きな格好をした方がいいと思う。これじゃなきゃダメってのは全くないから。若くなきゃできないファッションもあると思うけど、おばさんだって好きな格好をすればいいと思う。老い先短いんだから大きなお世話じゃない(笑)。でも若者にはもっとおしゃれを楽しんでもらいたいわね。