ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)は9月22日、2021年3月末までに世界で約15%の人員削減に踏み切ることを発表した。人数にすると3600人程度となる。
同社は数年前から長期的な成長とブランド価値のさらなる向上を実現するべく新たな事業戦略を進めてきたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、20年8月に戦略の見直しを実施。その中には社内組織の再編も含まれており、今回の人員削減はその一環として行われる。これによって、税引き前で1億8000万〜2億ドル(約189億〜210億円)のコスト削減が見込めるという。組織再編は全社的に行われており、グローバル・マーケティング部門とブランディング部門を統合する。これに伴い、ジョナサン・ボトムリー(Jonathan Bottomley)最高マーケティング責任者は同社を離れることになっている。
20年3月末の時点で、同社は世界でおよそ2万4000人の従業員を抱えており、そのうち米国は1万3000人ほどとなっている。コロナ禍によって店舗を休業せざるを得なかったが、北米では4月中旬までは販売員の給与を満額支払っていた。その後は、販売員およびリモートワークができない職種の社員を無給で自宅待機扱いとしたものの、6月末までは健康保険などの福利厚生を継続していた。
パトリス・ルーヴェ(Patrice Louvet)社長兼最高経営責任者(CEO)は、「世界で起きている変化に伴い、デジタルの強化や組織構造の合理化など、新型コロナウイルスの発生以前から取り組んでいた事業戦略をより急速に推し進めることにした。これによってブランドをさらに発展させ、現在のダイナミックな環境におけるラルフのビジョンを世界中の顧客に伝えるとともに、全てのステークホルダーにいっそうの価値を創出できると考えている」と語った。
同社の20年4〜6月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比65.8%減の4億8750万ドル(約511億円)、純損益は前年同期の1億1710万ドル(約122億円)の黒字から1億2770万ドル(約134億円)の赤字となった。コロナ禍の影響で業績が大幅に落ちたことを受け、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)=エグゼクティブ・チェアマン兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーは、20年度の特別報酬と21年度の報酬を全額返上することを発表。またルーヴェ社長兼CEOは危機的な状況が続いていた期間の報酬を50%減とし、ほかの経営陣や上級職の140人も20年4〜6月期の報酬や給与を20%減とした。
一方で、同社は現時点で店舗を閉じる予定はないという。今後は欧州、中東、アフリカ、アジア太平洋など販売網が手薄な地域での出店を進める予定で、ここ数週間ではギリシャとスペインに新たな店をオープンした。