ジョンソン・エンド・ジョンソン イノベーション(JOHNSON & JOHNSON INNOVATION)は、黒人経営のヘアケアブランド「サンデー Ⅱ サンデー(SUNDAY II SUNDAY)」に投資した。投資額は公表されていない。また同ブランドは、イグナイト・ベンチャー・ストゥディオズ(IGNITE VENTURE STUDIOS)からの資金も獲得している。
事業家のキーナン・ビーズリー(Keenan Beasley)が2020年春に立ち上げた「サンデー Ⅱ サンデー」は、日常的なエクササイズによる汗などの髪の汚れを落としたい黒人女性がターゲット。ビーズリーは黒人消費者のニーズに応えるためのパーソナルケアブランド設立を目的とした“ベンチャー ストゥディオ”という一連のビジネスを展開しており、「サンデー Ⅱ サンデー」はその一部だ。
プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE、以下P&G)やロレアル(L’OREAL)などで消費者向けの商品や美容分野に携わった経験を持つビーズリーは、「消費者に関わる仕事を通じて問題点に気づき始めた。アフリカ系アメリカ人の女性たちが、ヘアケアなどの悩みを抱えているのは明白だった。今まで解決策がなかったことがおかしい。私は消費者向けの製品を扱う仕事であらゆる場面に携わってきた。その経験をスタートアップ・ブランドのポジショニングにも生かせると思う」とコメントした。
研究開発においては、ジョンソン・エンド・ジョンソンの研究所によるサポートを受ける予定だ。「サンデー Ⅱ サンデー」は、頭皮を落ち着かせてかゆみや炎症を軽減するとされている天然の成分を使用したさまざまなヘアケア商品を販売している。販売価格は、“ルート リフレッシュ ミセラー ウオーター(ROOT REFRESH MICELLAR WATER)”や“リバイブ ミー デイリー モイスチャライジング スプレー(REVIVE ME DAILY MOISTURIZING SPRAY)”が各31ドル(約3200円)、“スース ミー デイリー スカルプ セラム(SOOTHE ME DAILY SCALP SERUM)”が28ドル(約2900円)で、ブランドのサイトで購入することが可能だ。
黒人差別問題をきっかけに、小売店は黒人経営ブランドや黒人、先住民族、有色人種向けの製品にこれまで以上に意識を向けるよう求められている。こうした動きの中で多くの小売店が、黒人が手掛けるブランドを15%扱うことを約束する「15パーセント プレッジ(15 Percent Pledge)」イニシアチブに参加を表明している。
マーケット調査会社のミンテル(MINTEL)は18年に、黒人のヘアケアにまつわる市場価値は合計で25億ドル(約2625億円)と推定したが、米国の一部の量販店では取り扱いが補足的な状況にとどまっているため、黒人のヘアケア市場には特に大きな成長の見込みがあるといえる。
P&Gが多様な人種をターゲットにしたグルーミングブランドを傘下に持つウォーカー&コー(WALKER & CO)を買収した事例はあるものの、大手企業が黒人経営のブランドに対して投資や買収を行うことは珍しい。