資生堂は、肌の酸化ストレスを高精度で可視化できるバイオフォトン(UPE)測定技術と皮膚中成分の分析により、太陽光強度のブルーライトが肌に悪影響を与えることを確認した。
バイオフォトン(UPE)とは、生体から発する目には見えない極めて微弱な光のことで、酸化ストレスに伴い増加することが分かっている。紫外線ダメージなどにより酸化ストレスが高まると、肌が本来持っている潤い、透明感、ハリなどを保つ機能が低下する。
ブルーライトとは、可視光線の中では波長が短く比較的強いエネルギーを持つ光。昨今、ブルーライトによる体への影響は指摘され始めているが、そのメカニズムなどは詳細に解明されていない。資生堂の調査では、太陽光中に含まれるブルーライトは、室内の照明やパソコンやスマートフォンなどから発せられるブルーライトと比較しておよそ数百倍の強度があることが分かった。そこで同社は、太陽光強度のブルーライトが肌に与える影響について研究を進めた。
今回は、太陽光強度のブルーライトが肌に与える影響を、バイオフォトン(UPE)測定と皮膚中成分の分析という2つの方法で確認した。バイオフォトン(UPE)は非常に弱い光のため可視化には高い技術が必要だが、酸化ストレスを確認する非常に有用な方法。これまでに同社では、バイオフォトン(UPE)を検出し、肌の酸化ストレスを高精度で可視化することに成功している。この技術を用いて、太陽光強度のブルーライトが肌に与える影響を評価したところ、ブルーライトを照射した皮膚組織はバイオフォトン(UPE)が増加し、照射していない皮膚組織と比べて有意に酸化ストレスが高まることを確認した。
続いて、皮膚中に存在する成分の変化を成分分析で確認したところ、ブルーライトの照射により皮膚中の肌トラブルの原因となる成分(過酸化脂質)が、照射強度に依存的に増加することが明らかになった。これらの結果から、太陽光強度のブルーライトは肌に悪影響を与えることが分かった。
一方で、バイオフォトン(UPE)測定を活用し、同社が開発してきたブルーライトをカットする技術の効果の検証も実施。ブルーライトをカットする技術を活用した処方を塗布してブルーライトを照射した皮膚組織は、無塗布のものと比較してバイオフォトン(UPE)強度が低下することが分かった。つまりブルーライトをカットすることで、皮膚を酸化ストレスから守ることができると考えられるということだ。
これまで同社は、紫外線が肌にもたらす酸化ストレスは光老化の原因の一つであるとし、日頃から肌をケアすることの重要性を伝えてきた。今回の研究で、太陽光強度のブルーライトも肌にダメージを与えることを確認し、健やかで美しい肌を保つためには、紫外線だけでなく、ブルーライトからも肌を守ることが重要だと判明。今後、これまでに得られた研究成果を活用し、紫外線やブルーライトから肌を守る製品の開発を進めていくという。