ファッション

LVMHとティファニー、訴訟合戦の経緯を追う

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 「私はティファニーを深く敬愛している」――LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンのベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)は2019年11月末、米「WWD」の取材に応じて、こう語っていた。そこから1年足らず。162億ドル(約1兆7172億円)での買収というファッション業界史上最大の“婚約”は、破局を迎え、互いを訴え合う関係に陥ろうとしている。その経緯を追う。(この記事はWWDジャパン2020年9月21日号からの抜粋です)

 1837年創業のアメリカ随一のジュエリー企業、ティファニーは、ルイ・ヴィトンやディオール、フェンディ、ブルガリなどを抱え、すでに一大帝国を築いているLVMHにとっても非常に魅力的だった。

 まず、売上高44億ドル(約4664億円、2020年1月期)のジュエリー企業を手に入れることで、グループとして大きく拡大できる。ティファニーの歴史やさまざまな逸話、豊富なアーカイブ、ラグジュアリーなイメージと世界的な認知度の高さも大きな魅力。カルティエやヴァン クリーフ&アーペルなどを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモンが優位を誇るジュエリー業界に大きな影響力を持てるようになる。

 さらに、アメリカ市場の獲得にもつながる。20年1月末現在、ティファニーはアメリカ大陸に124店を構える。映画「ティファニーで朝食を」でも憧れの場所として登場する5番街の本店(現在改装中)はニューヨークのランドマークだ。LVMHにとって課題となっているアメリカ市場攻略の重要な基盤になる。

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