しまむらの20年3〜8月期の連結業績は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比11.3%増の159億円だった。コロナ禍で収益を大幅に悪化させるアパレル小売業が大半の中、売上高を同3.8%減の2542億円でとどめ、値引き率を抑えたことで増益を達成した。純利益は同9.5%増の105億円。この結果を受けて、通期の業績予想を上方修正した。
売上高は緊急事態宣言下の3〜5月期こそ前年同期に比べて19.9%減だったものの、宣言が解除された6〜8月期は12.6%増と回復した。緊急事態宣言下でも郊外の多くの路面店は営業を継続していたため、「初めてのお客さま、久しぶりのお客さまが買い物に訪れ、宣言が明けた後もリピートしてくれた」と同社では分析する。「巣ごもり消費に臨機応変に対応した」(鈴木誠社長)ことも奏功した。6月以降は部屋着やパジャマ、インナーウエア、寝具などの店頭在庫を厚くして、販促でも重点的に打ち出した。
増益は値引き販売の抑制と販管費の削減が大きい。サプライヤーと連携した短期生産システムをうまく活用し、在庫コントロールを徹底した。販促においてもチラシ持参で値引きをする従来の手法を少なくし、商品の魅力を訴えることによるプロパー販売を強化した。広告宣伝費は前年同期に比べてほぼ半分に削減。緊急事態宣言による影響もあるが、新聞の折り込みチラシの回数を減らし、SNSの約2300万のフォロワーに向けたウェブチラシを拡充したことで、コストを大幅に抑えた。
3〜8月期の善戦を受けて、6月に発表した2021年2月期の業績予想を上方修正した。修正後は売上高が前期比1.3%増の5286億円(修正前は5192億円)、営業利益が同34.4%増の303億円(同234億円)、純利益が46.3%増の192億円(同146億円)の増収増益を見込む。