英EC「エイソス(ASOS)」は、リサイクルなどを通して洋服の廃棄削減や、地球環境を考慮した生産に向けた循環型ファッションの考えを取り入れた2020-21年秋冬コレクションを発表した。メンズ、ウィメンズ、ユニセックスからなる29種類で、オーバーサイズのカーディガンやTシャツ、デニムなどに加えて、90年代に着想を得たマイクロプリントや脱色加工が施されたアイテムをそろえた。鮮やかな色づかいやシンプルなデザインは、スクエアネックラインやボリュームをもたせたドレスで仕立てをアクセントに。またシルバーのジュエリーやバッグなどのアクセサリーも販売する。各製品の衣装タグにはQRコードを付与し、消費者はスキャンをすることで「エイソス」の取り組みや購入した方法を知ることができる。
それぞれのアイテムは、循環型経済を推進する英エレン・マッカーサー財団(Ellen Macarthur Foundation)が定めた3原則である“廃棄と汚染を出さない設計”“自然のシステムを再生する”“製品と原材料を捨てずに使い続ける”の中から最低2つを満たして作られているという。ヴァネッサ・スペンス(Vanessa Spence)=デザイン部門長は、「私たちはこの数年間、『エイソス』のような組織でどのように循環型ファッションを取り入れられるか試行錯誤を繰り返してきた。サプライヤーとも話し合いを重ね、私たちが設定した循環型デザインのガイドラインを提案した。このコレクションでは循環型経済とファッションのどちらかのみを選ぶ必要はなく、デザインや価格に妥協することなくサステナブルな製品を作ることができる」と述べた。
またコレクション制作に際して「エイソス」は、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション (London College of Fashion)が持つセンター・フォー・サステナブル・ファッション(Centre for Sustainable Fashion)でトレーニングプログラムを作り、同ブランドのデザイナー216人全員が受講した。同プログラムでは循環型デザインに関するガイドラインを設けて、廃棄ゼロデザインや廃棄物の最少化、リサイクル素材の使用、耐久性、多様性、単一素材、分解性、アップサイクルの8項目を掲げる。
「エイソス」は具体的な取り組み方を示していないものの、エレン・マッカーサー財団は「廃棄物や汚染物を排出しない製品やサービス、製品を何十年にもわたって使用し続けるビジネスモデルのための簡単な方法は存在しない。循環型経済の3つの原則はそれらを達成するための手段を規定するものではなく、今後の取り組み方法や革新への扉を開くものだ」と述べた。
「エイソス」は英国ブランドや出店ブランド、自社ブランドを合わせて8万5000点を超える商品をそろえるが、自社以外のブランドに対して循環型ファッションのガイドライン採用を強制することはないという。「エイソス」は「ファッション産業が向かうべき良き例を示したい。『エイソス』ブランドの『コリュージョン(COLLUSION)』『ハートアンドダガー(HEART & DAGGER)』『エディション(EDITION)』などは循環型デザインに取り組んでいく」とコメントした。