アダストリアの2020年3~8月期連結業績は、売上高が前年同期比26.9%減の796億円、営業損益が44億円の赤字だった(前年同期は71億円の黒字)。コロナ禍による4~5月の店舗休業が響いて減収減益となったが、「夏物の仕入れを抑制し、迅速な在庫コントロールを行ったことで、第2四半期(6~8月)だけで見れば営業黒字となった」(金銅雅之取締役)と手応えを語る。通期(21年2月期)では売上高が前期比15%減の1890億円、営業損益で10億円の赤字(前期は128億円の黒字)を見込む。
夏物の仕入れ抑制が効き、上期末の棚卸資産(在庫)は前年同期比11.2%減で着地した。粗利率は前年同期から3.1ポイント悪化して53.1%となったが、第1四半期(4~6月)と第2四半期で比べれば、在庫減による値引き販売の抑制で粗利率は4.3ポイント改善している。下期も仕入れは「従来の9割強に抑える」(北村嘉輝取締役)。
ECは、実店舗の販売員の着こなしを紹介する「スタッフボード」コンテンツの強化などが効き、自社EC「ドットエスティ(.st)」会員数が半年間で60万人増えて1090万人となった。上期のEC売上高は同25.2%増の252億円。国内売り上げに占めるEC売り上げ比率は33.2%、自社EC「ドットエスティ(.st)」のみでは17.5%だ。
下期は、10月8日に韓国発のセレクトショップ「エーランド(ALAND)」の日本1号店を渋谷に出店するほか、60代向けの新ブランド「ウタオ(UTAO)」をスタート。また、昨年12月に中国本土に初出店し、非常に好調という上海の「ニコ アンド(NIKO AND…)」では上海に2店目を出店するなど、攻めの姿勢が続く。コロナ禍を受けて、総合アパレルメーカーなどではブランドの休止や退店を決断するケースも聞かれるが、「ブランドや事業部の統廃合は考えておらず、むしろこれまでカバーしていなかったカテゴリーを増やすなどの積極策を描いている」(金銅取締役)。出退店については「新規ブランドなど出店余地が大きいものは積極的に出店するが、(基幹ブランドは)期初の想定よりも退店が増える見込み。ただ、現在家賃の減額交渉を商業施設側と進めており、それが実れば継続する」。