今年、15周年を迎えた「モデルズドットコム(Models.com)」のステファン・モスコビク(Stephan Moskovic)編集長が「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京(MBFWT)」の取材のため初来日した。「モデルズドットコム」は、“モデル・オブ・ザ・イヤー”や“トップ・ニューカマー”などのモデルランキングで知られる他、フォトグラファーやヘアメイク、PRなどの情報を掲載し、ファッション業界で最も影響力を持つウェブサイトの一つだ。「WWDジャパン」は、モスコビク編集長にインタビューし、注目のモデルや“スーパーモデル”に必要な条件などを聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):東京でファッションショーを見た感想は?
ステファン・モスコビク編集長(以下、モスコビク):初めて来日で、見るもの全てが新鮮に感じた。日本のクリエイティビティーの深さを見ることができ、新たな才能も発見することができた。
WWD:2016年春夏シーズンのファッションショーで気になったモデルは?
モスコビク:ここ5年間でアジアモデルの活躍が著しいと感じている。ウィメンズでは、フランスと中国のハーフのエステル・チェンや韓国人のヒュンジ・シン、ワンギーが気になった。メンズモデルでは、日本人の海老原拓弥とヒデキアサヒナが活躍していた。特にワンギーは、デビューシーズンにも関わらず、「ディオール(DIOR)」や「ミュウミュウ(MIU MIU)」「プラダ(PRADA)」「バーバリー プローサム(BURBERRY PRORSUM)」などのランウエイを歩き、パリやミラノ、ロンドン、ニューヨークの4都市に登場。今後の活躍も期待している。
WWD:海外コレクションでランウエイを歩く日本人モデルはどう見ている?
モスコビク:パリ・コレクションを歩いているチハルや松岡モナ、コウカには、引き続き頑張ってほしい。特に、コウカはアンドロジナスな今の雰囲気を持っていると思う。「フェンディ(FENDI)」のランウエイや「ユニクロ(UNIQLO)」キャンペーンに登場した萬波ユカも、ユニークなモデルだと思う。
WWD:“スーパーモデル”に必要な条件とは?
モスコビク:個性的なパーソナリティー、それに限る。インパクトがあり、アイコニックであること。例えば、SNSを駆使しているカーラ・デルヴィーニュやカーリー・クロスは、今の時代を象徴するモデルだ。
WWD:特に注目度が高い“トップ50モデル”のランキングはどのように作っている?
モスコビク:ランウエイを歩いたショーやカバーを飾った雑誌、広告キャンペーンの数などで決まる。フォトグラファーやヘアメイク、エディターからの支持も聞き入れる。近年はSNSでの影響力も反映。“トップ50モデル”だけではないが、ランキングを作ることで賛否両論の意見をもらう。モデルを応援するためにリストを作っている。決して、ジャッジするために作っているわけではないことを分かってもらいたい。
WWD:「モデルズドットコム」は15周年を迎えたが、この15年間のモデル業界で大きく変わったことは?
モスコビク:モデル業界に限った話ではないが、SNSの普及でファッション業界は大きく変わった。特に感じるのは、モデルはダイバーシティーが進んでいること。ランウエイでも国や人種など、さまざまなモデルが歩いている。また、メンズファッションも成長を続けていることから、メンズモデル市場も大きくなっている。