ナイキ(NIKE)は9月25日、サステナビリティ戦略「MOVE TO ZERO」のグローバル記者懇談会をオンラインで開催した。同社は、気候変動を今の時代の最大の課題として、CO2排出量と廃棄物、2つのゼロを目標に掲げており、解決策の一つとしてデザインに“ゴミ”を取り入れた製品を強化する。ノエル・キンダー(Noel Kinder)=チーフ サステナビリティ オフィサーもまた、「ナイキの規模感を生かして、低炭素社会や循環型経済に貢献する。“スペースヒッピー”はわれわれの姿勢を示す素晴らしいプロダクトになった」という。
ナイキ(NIKE)が8月に発売した廃棄物で作ったスニーカー“スペースヒッピー”は同社にとってエポックメーキングなプロダクトになった。ゴミを原材料として用いるだけでなく、デザインにも組み込んだからだ。「考え方を大胆に変えること――原材料にゴミを用いるという視点を持ったことから“スペースヒッピー”は生まれた。素材の選択はCO2排出量を減らし、廃棄物を減らすための鍵となる。環境への影響の70%以上は私たちが使用する素材によるものだから」――ナイキ(NIKE)のヴァージニア・ラスティーク・ペテニ(Virginia Rustique-Petteni)=グローバル サステナビリティ エンゲージメント シニア ディレクターは同イベントでこう語った。
この“廃棄物をデザインに組み込む”という“スペースヒッピー”のコンセプトは、これから発売されるさまざまなプロダクトでも生かされる。「ゴミを見せることでストーリーを伝えたい」とラスティーク・ペテニ=シニア・ディレクターは言う。フルレングスのダウンパーカは、透けるデザインであえてリサイクルして作られた素材を“見える化”した。リサイクル繊維を100%使用したダウンの代替品と、透明なペットボトルとダークカラーのペットボトルをリサイクルした断熱素材を用いた。ジッパーやトグルにも消費廃棄物や産業廃棄物を再利用した素材を採用し、廃棄物を生まないパターンを用いている。
「ナイキ」を象徴するプロダクトの一つ“エア フォース 1”も20%再生TPUを使用した再生フォームの裏材が見えるデザインで、10月1日に発売される。アウトソールの星のように見える模様も再利用素材“ナイキ グラインド”を15%含む素材によるものだ。
11月2日に発売する“ナイキ ワッフル レーサー クレーター”は、再利用素材“ナイキ グラインド ラバー”を15%含むアウトソールと同素材を11%含むクレーターフォームのミッドソールを用いた。これまでナイロンを用いていたアッパーをリサイクルポリエステルに変更した。
「私たちは名品をどう再考し、どうしたらよりよい形でクラシックな製品を再構築できるかを常に検討しています」とラスティーク・ペテニ=シニア・ディレクターは語る。
ゴルナン・アーミン(Golnaz Armin)=シニア・マテリアル・デザインディレクターは「制約があるからこそクリエイティブになれるのです」と語った。