百貨店主要5社の9月度売上高は、前年と比較して各社3〜4割の減収だった。昨前年同月は消費増税(10月)前の駆け込み需要があったことから、その反動で8月よりも減収幅は拡大した。一方、新型コロナウイルスの新規感染者の減少傾向や一部催事の再開などにより、低調だった都心店でも一定の集客につながっている。
各社の9月度の売上高は、三越伊勢丹が前年同月比35.5%減、高島屋が同35.7%減、大丸松坂屋百貨店が同39%減、そごう・西武が同29.1%減、阪急阪神百貨店が同36.3%減。「年配層やファミリー層の来店が月後半から復調し、売上高も回復基調にある」(阪急阪神百貨店)。三越伊勢丹は「英国展」などの人気催事を規模縮小の上で実施した。8月と比較した客数は、三越日本橋本店が約15ポイントの改善(前年同月比29.6%減)、伊勢丹新宿本店が6ポイントの改善(前年同月比44.3%減)だった。
高額品は駆け込み需要のあった前年同月には及ばないものの、引き続き好調に推移している。大丸松坂屋百貨店の特選カテゴリーの9月売上高は18年同月の実績を上回った。高島屋も特選カテゴリーは18年同月比で2ケタ増。阪急阪神百貨店の阪急うめだ本店では優良顧客向けのウェブ決済サービスを新規導入し、ラグジュアリーブランドを中心に売り上げに貢献している。「ビデオ通話を活用した販売では1000万円クラスの高額商談に繋がり、成約率、リピート率も月を追うごとに向上している」(同社広報)
一方でボリュームゾーンの衣料品は苦戦が続く。三越伊勢丹は紳士服が前年同月比3割減、婦人服が同4割減。高島屋は紳士服が同41%減、婦人服が同47%減だった。「月の後半から気温が落ちて秋冬商品も動きが見られたが、まだまだ消費が上向いているとは言えない状況」(高島屋広報)。