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連載 コレクション日記

パリコレ現地リポートVol.4 「ロエベ」に心を奪われ、「ヨウジヤマモト」に希望を感じた1日

 こんにちは、ヨーロッパ通信員の藪野です。この原稿を書いている3日の朝は久々に晴れました!天気がいいだけで、だいぶ気分が上がりますね。パリでの新型コロナウイルスの感染拡大状況は深刻化していて、週明け(5日)からレストランなどが閉鎖になるかもしれないと聞き、朝からスーパーに買い出しに行ってきました。いつもとは全く状況も雰囲気も異なるパリコレですが、早くも折り返し地点。「ロエベ(LOEWE)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」を取材した5日目のダイジェストをお届けします!

10月2日(金)

14:00 今季も冴えていた「ロエベ」のクリエイション

 「ロエベ」はデジタルでコレクション発表を行いましたが、パリでもインスタレーションを開催しました。アーティストのアンシア・ハミルトン(Anthea Hamilton)が手掛けた柄の壁紙で飾られた空間に、新たな造形の探求に意欲的なジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)らしいコレクションを展示。コルセットやパニエに使うようなボーン(骨組み)とたっぷりのチュールで生み出す大胆なボリュームが印象的で、コットンやリネンといった素朴な印象の天然素材とのコントラストが際立っています。本音を言うと、実際にモデルが着て歩いているところを見たかったけれど、今季も素晴らしいコレクションでした。
 
 一方、イベントなど特別なオケージョンも少なく、家で過ごす時間が増える中、ちょっと今の現実とはかけ離れているなぁという気も。ただ、そんな心配は無用でした。地下に展示されていたコマーシャルピースには、コレクションピースの要素を取り入れつつもウエアラブルに仕上げたアイテムに加え、“おうち時間”にぴったりなダブルカシミアのフーディーやパンツをはじめ、シンプルなポロシャツ、タンクトップ、レザーのスリッパなどもありましたよ〜。

 
 また、個人的に大のバッグ&シューズ好きなのでついついそっちに目が行くのですが、きっと気になる方も多いはず!ということで、写真でたっぷりとご覧ください。

15:00コンパクトにまとめた「イッセイ ミヤケ」のコレクションがパリに到着

 「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」もデジタルでショー形式の映像を発表しましたが、パリのショールームでもインスタレーションを行うと聞きつけて行ってきました。今季のテーマは“UNPACK THE CONPACT”(「コンパクトにしたものを広げて」的な意味)なのですが、パリに小さく畳んだり丸めたりしてコンパクトにまとめたコレクションが到着。アートのように飾られていました。
 
 「イッセイ」のコレクションは毎回、楽しいアイデアやギミックが豊富です。丸めるとスポンジのような弾力があるニットのプリーツアイテムや、ポリエステルとフェルトを三層に重ねて立体的に成形したトップスなど、実際の服を見たり触ったりするのって大切だなと改めて感じました。ちなみに、プリントの柄は全てデザインチームのメンバーが手掛けたものだそう。
 

17:00 「オリヴィエ ティスケンス」は今回、アトリエで全てのアイテムを制作

 その後は、「オリヴィエ ティスケンス(OLIVIER THEYSKENS)」のアトリエ兼ショールームにお邪魔しました。今季は、オリヴィエ・ティスケンスが10代の多感な時期に自身の美意識に大きな影響を受けたという、歌手ミレーヌ・ファルメール(Mylene Farmer)へのオマージュ。ただ、「それぞれのルックのインスピレーションになった曲や写真が分かるのは、僕みたいな本当にコアなファンだけだと思うけどね」とオリヴィエは笑っていました。
 
 そして、このコレクションは新型コロナウイルスの影響により、パターンや裁断から縫製まで全てアトリエで行い、完成させたそうです。ちょっと驚いたのは、彼がコレクションのデッサンを全てiPadで描いていること。数年前にアントワープで開催されたオリヴィエの回顧展で紙のデッサンをいくつも見ていたので、時代の変化を感じました。
 

19:00 リアルショーを決行した「ヨウジヤマモト」 耀司さんにも直撃!

 暫定公式スケジュールが発表されたとき、今シーズンはパリでショーをやる日本ブランドはないだろうなと思っていました。しかし、「ヨウジヤマモト」が耀司さんも渡仏してリアルなショーを開くと判明。一気にテンション上がりました!これは何としてもコメントをもらわねば!!ということで、ショー後のバックステージでお話を聞いてきました。どんなことを語られたかは、ぜひこちらの記事をご覧ください。
 
 パリコレ取材を始めてから毎回ショーを拝見していますが、中でも今シーズンは個人的にかなり好みでした。もちろん黒を軸にしたカラーパレットやドレープを生かしたロングドレス、柔らかなテーラリングなどブランドの根幹は変わらないのですが、しっとりと心に響きました。特にワイヤーのクリノリンと花びらや葉のような有機的なフォルムを取り入れたブラックのドレスは、ドラマチックで儚さを感じる仕上がり。耀司さんは1年前のショーのフィナーレでは背中に「NO FUTURE」と書かれたコートを着ていましたが、今回のショーを真っ白で締めくくったところには未来への希望のようなものを受け取りました。

 

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