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ファッションショーの乱入ハプニング8場面 ネコちゃんのリアル“キャットウォーク”から抗議運動まで

 9月29日にパリで行われた「ディオール(DIOR)」の2021年春夏コレクションのショーでは、“私たちはみなファッション・ヴィクティム(We Are All Fashion Victims)”と書かれた黄色いバナーを持った抗議者がランウエイを歩いた。同ブランドのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=アーティスティック・ディレクターは定期的にランウエイで社会的メッセージを伝えており、抗議者の登場が計画的だったのかどうか会場に困惑が広がったが、すぐにショーの一部でないことが判明した。

 今回のようにショーに登場して混乱をもたらすモデル以外の人物、いわゆる“ランウエイクラッシャー”はファッションショーにおいて珍しいものではない。突発的に奇抜な衣装で乱入したものから、メッセージ性を持った抗議運動まで、ここでは8つのハプニングを取り上げる。

1 「シャネル(CHANEL)」のフィナーレにユーチューバーが乱入

 パリで行われた「シャネル」20年春夏コレクションショーでは、グラン・パレ(Grand Palais)通りの屋上を再現したステージを歩くモデルの列に、ツイードのセットアップを着た観客が乱入した。

 乱入したのはインスタグラムで19万以上のフォロワーを持つユーチューバーでコメディアンのマリー・ベノリエル(Marie Benoliel)。ステージに上がりモデル同様ウォーキングするも、ショーのモデルを務めていたジジ・ハディッド(Gigi Hadid)に退場するようバックステージへと促された。

2 「グッチ(GUCCI)」にモデルのアイーシャ・タン・ジョーンズ(Ayesha Tan-Jones)がプロテスト

 いわゆる“ショークラッシャー”とは異なるが、「グッチ」20年春夏コレクションショーではモデルのアイーシャ・タン・ジョーンズが“メンタルヘルスはファッションじゃない(Mental health is not Fashion)”と書いた両手を掲げてランウエイを歩いた。イギリス出身のノンバイナリーモデルであるジョーンズは、「グッチ」が拘束衣のようなデザインを含むコレクションを、ベルトコンベアーを使って発表したことに対して抗議の意を表明した。

 ジョーンズはショーの後インスタグラムで、「メンタルヘルスをタブー視する風潮を終わらせるべきだと信じて抗議した。私を含めた多くのモデルもそうだと信じている。精神病患者を示唆するようなデザインを使うこと、そして食肉工場のようにベルトコンベアーで移動させることは悪趣味。この資本主義社会の中で人々の苦悩を洋服を売るための小道具として利用することは、メンタルヘルスに苦しむ世界中の何百人に対して想像力のかける行為であり、下品で侮辱的だ」と語った。

3 「ディオール(DIOR)」のキャットウォークにネコちゃん

 モロッコで行われた「ディオール」の20年プレ・スプリング(リゾート)では、モデルたちが行き交うランウエイのステージ、通称キャットウォークを本物の猫が歩いた。フィナーレを歩くモデルたちに混じって野良猫は、進行とは逆方向に闊歩した。

4 「プラバル・グルン(PRABAL GURUNG)」のショーに王冠をかぶった半裸の男性

 「プラバル・グルン」の14-15年秋冬コレクションショーでは、突然黒いトレンチコートに金の王冠、ヒョウ柄のビキニ、赤いソックスを身に付けた男性がランウエイに登場。すぐに警備員によって退場を促され、逮捕された。

 男性は後にウクライナ出身の記者だと判明し、ジジ・ハディッドやウィル・スミス(Will Smith)、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)、ブラッド・ピット(Brad Pitt)、ミランダ・カー(Miranda Kerr)らをはじめとする多くのセレブリティーに悪ふざけやわいせつ行為を行なっていた人物だとわかった。

5 トップレスの女性が「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のショーにカットイン

 「ニナ リッチ」14年春夏コレクションショーではトップレスの女性2人がランウエイに割って入った。それぞれの体には“モデルは売春じゃない(Models don’t go to brothels)”“ファッションの独裁者(fashion dictaterror)”と書かれていた。

 両者はトップレスによる抗議行動で知られるウクライナの女性権利団体、フェメン(Femen)のメンバー。同団体は13年にも「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のショーや、ハイディ・クルム(Heidi Klum)司会のドイツのトップモデル発掘ライブ番組でも抗議を行なった。

6 英コメディアンが珍衣装でショーをクラッシュ

 英俳優のサシャ・バロン・コーエン(Sacha Baron Cohen)は、09年に行われた「アガタ・ルイス・デ・ラ・プラダ(Agahta Ruiz de la Prada)」のショーにマジックテープでさまざまな布や靴を装着した奇抜な格好で乱入した。コーエンはコメディアンとしてアリ・G(Ali G)やブルーノ(Bruno)、ボラット(Borat)など複数のキャラクターを持っており、ショーではブルーノのキャラクターとしてランウエイを闊歩した。警部員に連れ出された。

 また英「ヴォーグ(VOGUE)」によると、翌週に行われた「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のショーでもコーエンは、レザージャケットとジーンズを着用して赤いビキニが露出した格好でフロントローに登場し、会場を混乱させたという。

7 「ディオール(DIOR)」のショーに抗議団体ペタ(PETA)が押し入る

 動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals、PETA)は、たびたび毛皮の使用をめぐって抗議運動を行なってきた。そのうちの一つが「ディオール」の03-04年秋冬コレクションショーだ。抗議運動を行なったPETAメンバーは“ファー・シェイム(Fur Shame)”と書かれたバナーを掲げてランウエイに上がったが、すぐに警備員に降ろされた。

8 「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)」にもPETAが乱入

 02年に行われた「ヴィクトリアズ・シークレット」のショーでは、ブラジル出身のモデル、ジゼル・ブンチェン(Gisele Bundchen)を狙ってPETAメンバーが抗議運動を行なった。黒と赤のランジェリーに身を包んだジゼルがランウエイに登場するや否やPETAメンバー4人がバナーを持ちながら並んで歩いた。

 バナーには“ジゼル:ファーのクズ(Gisele: Fur Scum)”と書かれており、同モデルが毛皮の養殖会社ブラックグラマ(Blackglama)と契約を結んだことに抗議した。ジゼルは抗議者を無視して歩き続け、抗議者は警部員に取り押さえられた。

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