人工タンパク質素材のスパイバー(山形県鶴岡市、関山和秀社長)は、米国の穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド・カンパニー(Archer Daniels Midland Company、以下ADM)と提携し、米国に人工タンパク質素材「ブリュードプロテイン(Brewed Protein)」の原料の量産工場を建設する。原料プラントの年産能力は数千トン規模になる。米国の穀物メジャーの全面的なバックアップは、次世代素材の大本命とも言われる人工タンパク質素材の世界規模での拡大につながりそうだ。
ADMはスパイバーの増資を引き受け、約59億円を出資する。スパイバーは今回の増資で資本金は354億円に、企業価値は1115億円になる。ADMは昨年12月にも43億円を出資しており、今回の増資でゴールドウインを抜き、合成樹脂材料大手のKISCOにつぐ第2位の株主(出資比率9.80%)になる。
スパイバーは、同社が開発した人工タンパク質素材の原料として、数百トンレベルのタンパク質の製造工場の建設に着手しており、2021年の稼働を計画している。スパイバーが研究開発している人工タンパク質素材は石油を使わず、劇的な省エネプロセスで繊維やプラスチックを製造できるため、1953年に開発されたポリエステルを超える素材革命の本命素材として知られている。
スパイバーはスポーツ大手のゴールドウインを筆頭に日本の繊維メーカーとも協力し、「ブリュードプロテイン」を使った高機能アウトドアアウター“ムーンパーカ”の発売にもこぎつけており、人工タンパク質素材を使った製品開発を着実に進めている。