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ティファニーが使い捨てプラスチックの使用廃止や温室効果ガス排出ゼロを目指す 2025年までに

 ティファニー(TIFFANY & CO.)は2025年のサステナビリティ活動の達成目標と20年間の活動について発表した。ティファニーのチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)を務めるアリサ・カマドーリ・コスタ(Arisa Kamdoli Costa)は「2025年のサステナビリティ活動のゴールはわれわれのビジネス戦略の土台であり、指針を示すものだ」と語る。コスタCSOは03年にティファニーに入社し、現職に就任する以前はティファニーの財団長であり、社会的責任部門の副社長だった。現職への異動は、指標が重視される企業のサステナビリティ活動の重要性の高まりを反映している。彼女は慈善事業を監督しながら、環境と社会的な取り組みの指標を設定し管理する取り組みをスタートさせており、今年は10年目の報告書提出になる。

 00年に設立された同財団は、採掘される自然素材をはじめ、サンゴや海洋保全を守るサポートをするというもので、昨年の452万ドル(約4億7400万円)を含めると8500万ドル(約89億円)以上の助成金を受領。ティファニーは“製品、人類、地球”という3本柱を中心に、25年までに使い捨てプラスチックの使用や温室効果ガス排出ゼロを目指す。「『ティファニー』は1837年に設立以来、自然にインスピレーションを得たデザインをしてきた」とコスタCSO。それが「ティファニー」がジュエリー業界における責任とトレーサビリティーを向上させる取り組みの基礎になっている。

 05年にティファニーは、カルティエ(CARTIER)、デビアス・グループ(DE BEERS GROUP)内のダイヤモンド販売・流通部門(DIAMOND TRADING COMPANY)、世界最大のダイヤモンド小売企業であるシグネット・グループ(SIGNET GROUP)ら全14社と責任あるジュエリー協議会(RESPONSIBLE JWELLERY COUNCIL)を設立。昨年、新規調達した0.18カラット以上のダイヤモンド全てに原産地証明を付けるダイヤモンド原産地証明イニシアチブを立ち上げた。それに続き、国や事業者、有識者などの関係者が参画し責任ある採掘を保証する基準を定めるイニシアチブの設立メンバーになった。

 03年にダイヤモンド業界における紛争を解決するために制定されたキンバリー・プロセス(KIMBERLEY PROCESS)は、ダイヤモンド原石を取引する際に参入国は原産地証明書の添付を義務付けるというものだが、キンバリー・プロセス証明書付きのダイヤモンドの中でさえ、カットされたものに関しては原産国や採掘鉱山が分からないものが多い。ティファニーはダイヤモンドの原石100%を認知されている鉱山やサプライヤーから調達し、そのうち91%は鉱山から直接調達したものだとリポートしている。同社はダイヤモンド資源の豊富なボツワナに5900万ドル(約61億円)の経済効果を与えているという。

 現在ティファニーのジュエリーの約6割はニューヨークやケンタッキー州、ロード・アイランド州の自社工場で製造されており、製造以外の加工はドミニカ共和国で行われている。ティファニーは13~19年の間に約8%の炭素排出量を削減。この数値はスコープ3(同社のバリューチェーンまたは、同社の傘下にない鉱山から排出されたもの)を削除したものだが、コスタCSOは、スコープ3の目標値は21年に達成すると断言している。ティファニーのアイコニックなティファニー ブルーのボックスとバッグは責任ある手順で調達され、現在その5割がリサイクル素材で生産されている。一方で、同社は25年までに5%の金を責任ある小規模の鉱山から調達し、5割の貴金属をリサイクルされたものから調達するという目標を掲げており、リサイクル金属に関しては他社に比べると低い目標値だ。 

 パンデミックによりビジネスに大きな打撃を受けたとはいえ、ティファニーには回復の兆しが見えている。8月は営業利益が前年同期比76.5%減の3190万ドル(33億4900万円)だったが、ECに関しては昨年に引き続き2倍増だ。業界的には店舗休業にもかかわらずブライダル需要が伸びた。ティファニーは“数を絞ってよりよいもの”といった消費者の考え方の高まりやデジタルファーストの“次世代のジュエラー”という点で巻き返しを図る目論見で、ブライダル中心のジュエラーというポジショニングは過去のものだとしている。コスタCSOは、「“次世代のジュエラー”になるということは、あらゆるものの関連性を踏まえた上でサステイナブルでありビジネス的に成功を収めるのが基本だ」と述べている。

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