※この記事は2020年8月18日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
ミヤシタパークに見る日本のストリートカルチャーの新展開
開業したミヤシタパークを偵察中、弊社も関わる「TOKION」のショッパーを持った男性2人とすれ違い、ビビッと来たので声をかけてスナップ写真を撮らせてもらいました。“ビビッと来たらスナップ”は私の取材の基本姿勢です。記者というハンターは自分の直感を信じるべし。ためらっている間に素敵な人との出会いというチャンスを逃す方がもったいないですからね。以前パリで、「コム デ ギャルソン」のキルトスカートと白シャツに「ルイ・ヴィトン」のボストンバッグというおしゃれな男性の後ろ姿にビビッと来て声をかけたら、マーク・ジェイコブスだったということがありました(自慢)。声をかけて大正解でした。
話を戻すと、冒頭に触れたビビッと来た男性はミヤシタパークに出店もしている「ミノトール インスト」のディレクター、泉栄一さんとそのご子息でした。写真を撮らせてもらって名刺交換をし、その後の約3分間、泉さんがダーッと話してくれた内容が面白くて……。声をかけてよかったと思ったのでした。
福岡とパリを拠点にストリートファッションの世界で特に有名な泉さんに関する基礎知識はこちらからぜひ。
で、泉さんの話で何が面白かったかというと、裏原を起点とする日本発のストリートファッション&カルチャーに関する新しい視点です。「ミヤシタパークをどう評価していますか?」という私の質問に対する泉さんの答えは、「ストリートファッションが世代を超えて伝わり、楽しめる場がようやくできたと思う」とのことでした。確かにミヤシタパークにはストリート系メンズブランドがずらりとそろい、見応えがあります。そしてストリート第1世代と言える40代以上から10代まで楽しめる“ストリートワンダーランド”的な魅力があります。
1990年代以降のストリートファッションを知り尽くす泉さんの横には“あの頃”の泉さんと同年齢くらいと思われる息子さんの姿が。親子で「ミノトール インスト」を着こなしていてお似合いで、それぞれにその場を楽しんでいました。
カルチャーって一過性の部分もありますが、受け継がれてゆくことでより深く豊かになる側面もありますよね。海外のメンズデザイナーからも評価が高い日本のストリートファッションの新展開のきっかけをミヤシタパークがつくったのであれば面白いです。
この話、まだうまく言葉にできないのでストリートファッション好きの人と話し込んで考察を深めたいですが、とにかくスナップをきっかけに泉さんには大切な視点を教えてもらったことは間違いなしでした。
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