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「コスト」が大きいモノこそサブスクに エディターズレター(2020年8月20日配信分)

※この記事は2020年8月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「コスト」が大きいモノこそサブスクに

 もう一種類のメルマガでは昨日、「自転車通勤始めました」と近況報告しましたが、“自転車ツーキニスト”になって改めて気づくのはシェアサイクルの普及の度合いです。特に毎週土曜日、横浜から豊洲にある「アシックス」の低酸素ジムまでチャリで移動する時は(笑)、道中、数えきれないくらいのシェアサイクルに出合います。ママチャリに乗るママ&買ったばかりの自転車に乗る子どもと一緒にツーリングするパパはシェアサイクル、なんてケースが一般的でしょうか?シェアサイクルに乗るUber Eatsのドライバーも多いのですが、彼らはマネタイズできているのでしょうか?そんなコトを考えながら、週末は片道25kmの距離を爆走し、着いた先でバーベルを持ち上げ、帰宅前にはご近所のジムでもう一回有酸素という、アディクト以外の何物でもない時間を過ごしています。

 調べるとシェアサイクルの月額利用料金、つまりサブスク料は2000円程度のようです。これを高いと捉えるか?それとも安いと考えるかは個々人によるでしょうが、10万円くらいの電動自転車が毎月乗り放題で2000円なら、悪くありません。自転車って、導入時に強いられるコスト、案外高いですからね。10万円の自転車代はもちろん、駐輪場問題とか、盗難防止のチェーン問題、「盗まれないかしら?」というストレス、そして使わなくなった時の処分まで含め、一連のコストは自転車代をしのぐかもしれません。それまでひっくるめて、月額2000円で解決できるなら、です。

 以前、家具のサブスク事業を手がける「CLAS」の久保裕丈・社長が、全く同じコトをおっしゃっていました。家具こそ買うにしても、買い換えるにしても、「困りごと」があまりに多いからサブスクが良いそうです。彼は社会人になって2、3回目の引っ越しを経験する人、つまり、生活にこだわる余裕が生まれてきた人をメーンターゲットに「CLAS」を手がけていますが、それでも、いやそうなるとそれこそ「困りごと」は数え切れません。「こだわりの家具は高すぎる問題」「空間全体を整えるには数年かかっちゃう問題」「運搬が面倒問題」「組み立てが大変問題」「古い家具の処分には時間がかかる問題」etc…。それを解決するのがサブスクと聞いた時、「なるほど」と思いました。「メデュラ」から「D2Cは、お客様の悩みに寄り添うビジネス」と聞いた時以来の“開眼”でした(笑)。

 実は今、私たちもサブスク事業に挑戦しようとしています。オンラインをメーンに、学びのコンテンツをサブスクで提供できないか?そんなコトを空想し、ワクワクしている今日この頃です。その時に考えるべきは、「現在、ユーザーが直面しているコスト」なのですね。商品やサービスの単価のみならず、そこに至るまで、その後の「コスト」。これが大きく、冷静に考えれば理不尽なモノほど、サブスクにピッタリなのでしょう。ファッション&ビューティ業界の「学び」をサブスクするには、「コスト」の面から考えた時、ポテンシャルがあるのでしょうか?現状のサービスは1回数千~数万円と割高だし、決して数も多くない。特にリアルなセミナーは首都圏や関西圏ばかりで地方の皆さんに「コスト」を強いています。成功できそうな気がするのですが……。皆さん、どんな「学び」のコンテンツがあれば、サブスクしてくれるでしょう?教えてください。

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