ファッション

ドームが目指す“お客さまと併走するOMO”とは?

 新型コロナウイルスの影響で店舗を訪れる顧客が減り、アパレル小売にとってオンラインとオフラインの融合させるOMO施策の重要性はこれまで以上に高まっている。米スポーツウエアブランド「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」日本総代理店のドームは、2018年10月にクラウド型アプリプラットフォーム「ヤプリ(YAPPLI)」を導入し、スマートフォンを利用したさまざまなOMO施策を実行している。施策の狙いや成果について、同社の阿部敏ドーム ブランドマーケティングDiv. ヘッドオブコンシューマーインサイトに聞いた。

EC売上高が前年比70%増
アプリ経由の販売も伸長

WWDジャパン(以下、WWD):コロナ禍において、「アンダーアーマー」のECの状況はどのように推移している?

阿部 敏ドーム ブランドマーケティングDiv. ヘッドオブコンシューマーインサイト(以下、阿部):3月以降、「アンダーアーマー」はEC単体で見ると非常に好調です。「アンダーアーマー」はグローバルでマスクの開発・販売を始め、非常に好調だったのですが、その分を抜いても日本のEC売り上げは前年比70%増くらいになりそうです。そのうちアプリ経由の売り上げは25%に達していて、大きく伸びています。

アプリに動画を保存
「接客の擬似体験を」

WWD:EC販売には以前から取り組んでいるが、どのような課題があった?

阿部:2018年にECサイトをグローバルののプラットフォームに統合しました。しかし使い勝手が日本のお客さまに合わず、コンバージョンレートが下がってしまったため、日本にローカライズすべくヤプリを使ったスマホ向けアプリの開発にも取り組みました。

WWD:OMO関連ではどのようなことに取り組んでいる?

阿部:アプリで会員登録していただいた方には割引をしています。直営店では5%、アウトレットでは10%以上の割引をしています。こうした施策により現在のアプリ会員は50万人弱で、ECの会員数を超えました。

WWD:アプリの開発・運用は?

阿部:今は新卒社員6人がアプリを運用しています。人的コストが少なくて済む点はありがたいですね。特別な知識や技術が無くても、簡単にアプリを作ったり、コンテンツを追加したりできるなどフレキシブルさにとても助かっています。「ヤプリ」の機能で一番活用しているのはバーコードリーダー。店舗に欲しいサイズや色が置いていなくても、商品のタグを読み込んでECで注文していただけます。また、スポーツウエアは機能が重視されるため、店舗スタッフがインスタのライブ配信で商品説明をします。アプリに動画をアーカイブし、店舗での接客が擬似体験できるような環境を整えようとしています。

在庫連携と無人レジを実現
「ブランドのファンを増やす」

WWD:アプリの機能として今後追加したいものはある?

阿部:ヤプリの店舗検索機能を利用し、アプリ上で店舗在庫を確認できるようにしたいです。新型コロナの影響で買い物に割く時間を減らし、店舗に「これが欲しい」と明確な目的を持っていらっしゃる方が増えました。せっかく足を運んでくださったお客さまをがっかりさせてしまうことがないよう、前もって在庫を確認できることはますます必要になると考えます。

WWD:思い描くOMOの形は?

阿部:最終的に目指しているのは、全ての決済をオンライン上で完結できるようにすること。お店からレジをなくし、スタッフが商品の機能性を説明することに専念できるような環境ができれば、より「アンダーアーマー」を好きになっていただくことにつながると考えています。

問い合わせ先
ヤプリ 広報
050-1745-4529