国土交通省、観光庁のGO TO トラベル事業で、10月1日から地域共通クーポンの配布が始まっています。同クーポンは旅行先の土産物店、飲食店、観光施設、交通機関などで利用でき、コロナ禍で打撃を受けた国内需要の盛り上げを狙っています。客の同クーポン使用を受け付けるためにはGO TO トラベル事務局に登録する必要がありますが、登録をすればファッションの小売店もクーポンの使用対象店舗となります。ファッション業界内でも意外と知らない人が多いようなので、あらためて記事にまとめました。
そもそもGO TO トラベル事業では、旅行代金の半額相当(1泊あたり最大で2万円、日帰りなら同1万円)が補助されます。そのうちの70%は旅行代金(宿泊費など)の割引として補助されますが、残りの30%(旅行代金全体の15%)は同クーポンとして支給されます。クーポンの最大額は1泊あたり6000円、日帰りの場合は3000円です。
同クーポンは宿泊予約サイトや旅行業者などが配布し、宿泊地(日帰りの場合は主目的の観光地)のある都道府県やそれに隣接する都道府県で使用が可能。つまり、地方から東京や大阪へ旅行して、渋谷や原宿、梅田で服を買った際にも使用できます。東京の人が都心のホテルに泊まってリラックスする、というケースでもGO TO トラベルキャンペーンは適用されます。
ファッションに関係する小売業では、例えば伊勢丹新宿本店、阪急うめだ本店などの百貨店や、大型SCなどで同クーポンが使用可能になっています(百貨店は日本百貨店協会の公式サイト上で使用可能店がリスト化されています。またGO TO トラベル事業の公式サイト上でも使用可能店舗や施設が検索できます)。そのような大手資本の施設や店ではない個人経営のブティックなども、登録さえすればクーポンの使用対象となります。登録はGO TO トラベル公式サイトから行えます。
5月に緊急事態宣言が延長された際に、シューズブランド「ユナイテッド ヌード(UNITED NUDE)」日本法人の青田行社長や、セールスレップのイーストランド島田昌彦社長などが発起人となって、休業要請対象業種から外れたファッションビジネスの現状を訴える署名活動を行いました。その活動では、槇原秀樹経済産業副大臣や自民党議員、経済産業省の担当者などにも面会、「業種を限らない経済活性化策」の必要性を伝えていましたが、今回同クーポンでファッション小売業も補助の対象となったきっかけの一つには、そうした動きも関係しています。コロナによる影響はまだまだ続いていますが、今後も自分たちで動いて自分たちの業界を前進させていくという姿勢が、ファッション業界には求められていますね。