※この記事は2020年8月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
問題です、「design」の日本語訳はなんでしょう?
英語の勉強を細々と続けていますが、単語アプリがランダムに出題してくる英単語には時々「そんな意味があるのね」とハッとさせられることがあります。
そこで突然ですが問題です。英語の「nature」の日本語訳は何でしょう?正答のひとつはもちろん山や川を指す「自然」ですが、私が使っているアプリが最初に提示した答はそうではなく「本質」でした。なるほど、確かに。ハッとして納得しました。そこから派生する「natural」も、人間や動物などの「本質・性質」といった意味があり、だから「ナチュラルメイク」は「何もしない」のとは違いますものね。ほかにも「fashion」の答えが「やり方・流儀」であり、その例文に「in one’s fashion=自分のやり方で」と見つけたときも、「ナイス例文!」と心の中で思いました。オシャレです(笑)。
そして、このニュースを読んだときは、「design=設計」という言葉が浮かびました。
「design」は幅広く使われている言葉で正解が一つではないうえに、今日では解釈の幅が広がっていますが、少なくとも私の愛用アプリによれば(笑)代表的な答えは「設計」です。そしてこの日本語訳は本質を突いていると思います。日本語で使うときの「デザイン」って、感覚的なもの、直感的なものとして認知されることが多い気がします。それだからか、洋服のデザイナーは感性勝負と思われがちです。もちろん、感覚・感性も大切ですが、活躍しているデザイナーたちの仕事を見ると、より大切なのはロジックと感覚の両方を持つ「デザイン=設計」の視点だなと思います。
「ホワイトマウンテニアリング」のデザイナーである相澤陽介さんが手掛けたヤマトホールディングスの新しい制服は、誕生までにたくさんの試行錯誤があったようです。制服のデザインにはさまざまな制約がありますが、記事からは相澤さんが制約それ自体を発想の源にしていたことが分かります。制服の本来の役割を第一に、年齢も体形も幅広い着る人の視点でとことん考え、仮説と検証と改良を繰り返したとのこと。そして配送業者のスタッフの制服がもはや街の景色の一部であることも意識していたそうです。日常着と制服は役割が違うからデザインプロセスも異なりますが、デザイナーは設計者である……の言葉がしっくりくる記事でした。
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