サステナビリティ

いらない服を新しい服に H&Mがストックホルムの店頭に“ループ”設備を設置

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ、以下H&M)は10月12日、服から服へのリサイクルシステム「ループ(Looop)」をスウェーデン・ストックホルムのドロットニンガータン店に導入した。「ループ」は不要になった衣類から、新しいファッションアイテムに作り変えるサービス。ブランド不問で現在はニットアイテムからウィメンズのニットトップス、ベビーのブランケットおよびスカーフへの作り変えが可能だが、今後はアイテムの幅を広げていく予定だ。料金はH&Mのロイヤリティプログラムのメンバーは、100スウェーデン・クローナ(約1100円)で、メンバー登録をしていない場合は、150スウェーデン・クローナ(約1650円)。全ての収益は素材に関する研究費用にあてられる。

 H&Mはファッションの“ループを閉じる(closing the loop、ゴミや有害物質を外に出さない)”ことを目標に掲げてこれまで循環型の仕組み作りに取り組んできた。このサービスでは「古着にも価値があり、廃棄されるべきではないことを視覚的に訴求すること」を狙う。

 「ループ」は、コンテナに投入した服を洗浄し裁断した後に、新たな糸にして、それらを編んで新しいファッションアイテムにするというもの。所要時間は約5時間。新たに製造されるアイテムの強度を保つために、不要な衣類に加えてサステナブルに調達された純資源もある程度追加するというが、その使用量を最小限にすることを目指している。「ループ」では水も化学薬品も一切使用しないため、 ゼロから衣類を製造するよりも、 大幅に環境への負荷を抑えることができる。

 パスカル・ブルン(Pascal Brun)=サステナビリティ・マネージャーは「私たちはファッション産業の変革を目指し、純資源の使用量を削減すべく常に新しいテクノロジーやイノベーションを模索している。真の変化を実現するには、お客さまと共に取り組むことが鍵になる。『ループ』の導入がどうお客さまにインスピレーションをもたらすか、とても楽しみにしている」とコメントを発表した。
 
 H&Mは2030年までにすべての使用素材を、リサイクルまたはサステナブルに調達された素材へと切り替えることを目標にしており、19年には57%を達成した。

 「ループ」は非営利財団のH&Mファウンデーション(H&M Foundation)とHKRITA(香港繊維アパレル研究開発センター)、香港の紡績会社ノヴェテック・テキスタイル(Novetex Textiles)が開発を進めていた。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。