ファッション
連載 働くママのざっくばらん“本音”トーク

ファッション業界人は「財テク」下手!? “ゴールド”から資産運用を考えてみた 働くママのざっくばらん“本音”トークVol.9 ファッション編

 これまで「業務効率化」「便利なECサイト」などをテーマにしてきた、ママ連載(ファッション編)。でも本当に気になるのは「お金のコト」という人も多いのでは?今回は、そんな「財テク」をテーマに鼎談。田中貴金属が手掛けるジュエリーブランド「ギンザタナカ(GINZA TANAKA)」銀座本店の山口大介副店長を訪ね、「財テク」初心者の現・元「WWDジャパン」記者ママ2人が、ファッション業界人には一番身近(!?)で、身に付けることもできる“ゴールド”から資産運用を考えてみました。

「袖を通すことも勉強!」が散財の免罪符

村上杏理(以下、あんり):突然だけど、カモちゃん。「財テク」って何かやってる?

鴨井里枝(以下、カモちゃん):何もやってないよ。でも取材で日々良いモノに触れているおかげで、目だけは肥えていく。「節約」は大切だけど、ちょっとしたモノが高めだから、そろそろ何かやらなきゃと思ってるよ。

あんり:それは耳が痛い。私も娘が生まれて、お金の大切さがやっと自分事化した。過去を振り返ると、展示会でオーダーした洋服が、オンシーズン数カ月前から届き始めて生活が徐々にカツカツに。ボーナスが出る時期に、サンプルセールもタイミングよく開催されるから、さらに洋服を買い込む。で、半期で収支が「±ゼロ」という生活を10年くらい続けてた(笑)。これはファッション業界で働く人“あるある”だと思う。

カモちゃん:展示会オーダーの罪悪感を解消するのは「袖を通して、良さを体感するのも(良い記事を書くための)勉強」という言葉(笑)。

あんり:それを免罪符に買いまくってたなぁ(遠い目)。でも、今は子どものためにもお金を役立てたいと思うようになった。それで「ギンザタナカ」を訪ねる今回の鼎談には、現「WWDジャパン」でママのカモちゃんを誘ったよ。会社員だと、フリーランスとは違った視点があると思うから。

カモちゃん:私もこれを機に色々勉強したい。前置きはこの位にして本題に。

「財テク」って何から始めればいいの!?

あんり:早速ですが山口副店長。「財テク」を始める上で、まず何から始めたらよいでしょうか。IDECO、積み立てNISA、株、FX……。種類がたくさんあって悩んでいます。

山口大介「ギンザタナカ」銀座本店・副店長(以下、山口副店長):「これ!」というのは言えませんが、まず明確な違いでいうと「IDECO」や「積み立てNISA」は、節税のメリットがあります。その他の多くの取引には利益に税金がかかります。

「金」を使った資産運用のひとつには「純金積立」がありますが、これはお客さまからお預かりした月3000円からの資金を元に、毎日少しずつ「金」を購入するという仕組み。価格の高い日は少なく、低い日は多く購入する“ドル・コスト平均法を導入することで、価格変動のリスクを抑える効果があります。ちなみに田中貴金属の「金」税込小売価格は、1gあたり7101円(10月1日時点)です。

「金」は「安全資産」と呼ばれていて、「バイ&フォーゲット(買ったら忘れろ)」なんて格言も。価値が安定しているので、資産保全が期待できます。

あんり: “ドル・コスト平均法”は、「IDECO」「積み立てNISA」にも採用されています。特に「純金積立」が優れているところは?

山口副店長:やはり積み立てる対象が「金」であることです。その理由のひとつは、希少性。これまで世界中で採掘された「金」は、国際基準の50mプール4杯分程。貯金や株式、債券などに加えて資産分散のひとつとして、購入されるお客さまが多いですね。

カモちゃん:がっつり儲けたいという人より、長く安全に資産形成したい人に向いているということですね。

「純金積立」は忙しいママにこそおすすめ?

山口副店長:はい。僕の妻を例に上げると、朝起きてから子どもの支度、幼稚園の送り迎え、習い事の付き添い……、それだけで目まぐるしく1日が終わってしまいます。「純金積立」はそんな「日々マーケット情報を見る時間の余裕はない」という方に多くご利用いただいているので、ママ世代に相性が良いのでは?と思います。逆に、すぐにリターンを求める方は「金」じゃない方がいいでしょう。

あんり:なるほど。株取り引きは9~15時がコアタイム。わが家は夫が株をやっていて、いつも15時過ぎまでは他のコトが片手間。株にも興味がありますが、私までスマートフォンで相場チェックしながら育児をするのは、さすがに罪悪感が。でも今は「普通預金」の金利が低いので、漠然と現金を貯めることにもリスクを感じています。

カモちゃん:物価は年々上がり続けているしね。ちなみに山口副店長の「金」に関する成功事例はありますか?

山口副店長:毎年子どもたちの誕生日にコインを贈っているのですが、5年前に長女に購入した約16万円の金貨が、今約21万円に値上がりしています。ただ2歳になる下の子には、金が値上がりした関係で、予算的にプラチナコインを贈っています。希少性はプラチナの方が高いですが、現在は価格が逆転しており(2020年10月時点)、「金」よりもプラチナの方がお求めやすいです。将来、自分で何かやりたいときは、これを資金にしてもらえたらな、と考えています。

カモちゃん:将来、姉弟喧嘩にならないといいですね(笑)。もちろん失敗エピソードも?

“「純金積立」を切り崩してご祝儀代に(笑)”

山口副店長:失敗事例でいうと、一時期お給料の全額を「純金積立」で「金」に換えていたのですが、友人の結婚式が重なって、ご祝儀に充てる現金が足りなくなる事態に。泣く泣く積み立てた「金」を売ったら、1gあたり5000円で購入したものが4500円に下がっていたタイミングでした。「金」の価値はゼロになることはありませんが「資産運用は余裕資金ですべし」の大切さを肌で感じた瞬間です(笑)。

あんり:確かに、余裕資金であれば「今は売らないでおこう」の選択もできますしね。でも、お子さんの誕生日に金貨を贈るなんて、素敵な習慣です。

カモちゃん:身に付けるジュエリーでも資産性はあるのでしょうか?

山口副店長:もちろんです。「金」は毎日使っても重量は減りません。「金」のネックレスや食器など、日々の生活を豊かにしながら、資産として持つことができます。

カモちゃん:金のジュエリーは「お金があれば使っちゃう」ファッション業界人と相性がよさそう。紙幣を「資産」に変えただけと思えば、買い物の罪悪感が減りそうです(笑)。

山口副店長:もし換金を希望される場合は、24金で1グラム7000円、18金で5000円ほどになります(2020年10月時点)。ルビーやサファイアなどの宝石は、明確な評価基準を持たないので、「ギンザタナカ」は宝石をお返しして「金」のみの重さで価格を決定します。

あんり:ダイヤモンドは“4C”で表現される評価基準がありますが?

山口副店長:ダイヤモンドには評価基準がありますが、「ギンザタナカ」では買い取りを行っていません。主に再販目的でダイヤモンドを買取る業者もありますが、基準は各社さまざまです。

カモちゃん:コロナ禍で30〜40代の女性、ママ世代からの問い合わせは増えていますか?

山口副店長:子どもの名義で「純金積立」を始めたい、というお問い合わせは増えています。お客さまに共通するのは「子どものために何かしてあげたい」という思い。そうなると値動きの激しいモノより、紀元前から“価値あるモノ”とされている「金」を託したい。という想いがあるのかもしれません。

人気はコインチャーム

カモちゃん:なるほど、奧が深い。特にオススメのアイテムは?

山口副店長:楽器の絵柄が入っている“ウィーン金貨ハーモニー”を筆頭に、コインやコインバーなどのチャームが人気です。

カモちゃん:メダイやコインチャームを使ったアクセサリーのレイヤードは流行っているし、ファッション性もあるので素敵に取り入れられそうです。

あんり:私はジュエリーを「資産価値」で選ぶという考えが今までなかったので新鮮。そして本当に失礼ですが、デザインも意外にかわいいです。今までもっと古風なデザインをイメージしていたので。

山口副店長:一般的には、デザインからジュエリーを選ぶ方が多いと思いますが、「ギンザタナカ」では「資産価値」を念頭に、+αでデザインを選ぶという逆の流れで購入される方が多いかもしれません。でも皆さんには、「金」は特別なモノではなくて、もっと身近なモノだと感じてもらいたいですね。

カモちゃん:「資産性」という価値観があれば、購入するアクセサリーも変わっていたかも。

あんり:散財していた20代も贅沢な時間だったけど、私たち30代中盤。まずはこのジュエリーを買えるように、より一層働かなきゃ!だね(笑)。

村上杏理/(むらかみ・あんり):1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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