パルグループホールディングス(HD)の2020年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比32.5%減の451億円、営業損益が17億円の赤字(前年同期は55億円の黒字)、最終損益が15億円の赤字(同34億円の黒字)だった。出店エリアが大都市中心のため、緊急事態宣言解除後も売り上げの回復が遅れたこと、「スリーコインズ(3COINS)」など雑貨事業でEC対応をしてこなかったことが、大幅な減収要因となった。
4〜5月の臨時休業により、既存店売上高(店舗のみ)は同57%まで落ち込んだ。6月は営業再開後、全店で前年並みまで持ち直したが、7月に感染再拡大して以降の東京と大都市部での落ち込みが大きく響いた。セグメント別売上高は衣料事業が同34.2%減の320億円、雑貨事業が同28.1%減の130億円。EC売上高は自社ECサイトで同85.5%増と大きく伸ばし、全体でも同23.6%増えた。EC化率は前年同期より6ポイント上昇し23.9%となった。普段着のおしゃれを提案する「フーズフーギャラリー(WHO’S WHO GALLERY)」「フーズフー チコ(WHO’S WHO CHICO)」「カスタネ(KASTANE)」「ミスティック(MYSTIC)」はECが好調なだけでなく、既存店売上高も前年同月比20%減以下で踏ん張った。
休業で店頭販売できなかった春物衣料は期中に値引きして消化を進め、また8月末に不良在庫を一括処理したことから粗利益率は同3.5ポイント悪化した。販管費は休業中の賃料減免や雇用調整助成金を生かし、人件費の抑制などに取り組んだ結果、同67億円に減少。コロナ禍による閉店を起因とした減損損失を2億900万円計上した結果、最終損益は15億円の赤字となった。期末店舗数は14店舗純増の940店舗。インバウンドの売上高が大きかった東京・台場の店舗など当初の予定になかった店舗も含め、24店舗を退店した。
通期(21年2月期)の業績予想は、都心部の商業施設での客足の戻りが不透明なことから、売上高は前期比20.7%減の1047億円、最終損益は12億円の赤字(前期は70億円の黒字)を見込む。好調なEC売上高については、2年後の目標を前倒しし、通期で260億円を計画する。
具体的な施策としては、コロナ禍で商業施設のテナントが相次ぎ退店し、出店しやすい環境にあることから「大型店化の好機。ここ数年進めてきた店舗の大型化をさらに押し進める。各ブランドの感性にあった店舗づくりでライフスタイルショップ化に取り組む」(井上英隆会長)。その実験店舗として6月初め、大阪・和泉市の「ららぽーと和泉」に、「ディスコート(DISCOAT)」「サリュ(SALUT!)」「ラティス(LATTICE)」の3ブランドの複合店をオープンした。「来店頻度が上がり、人件費率も抑えられている。年間3億円超を見込めることが確証できた」と井上会長。今秋発表する予定の中期3カ年計画では最終年度に売上高3500億円を計画している。