企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はコロナ禍を乗り越えるためにチェックすべき数字を解説します。(この記事はWWDジャパン2020年10月12日号からの抜粋です)
コロナ禍で多くの企業が単月の売上高が6割減ったり、多額の損失を計上したりしていますが、どこの数字を見ればその企業の体力を測ることができるのでしょうか?今回は、パルグループホールディングス(以下、パル)を具体例に解説しますが、自分が経営する、または自分が勤めている会社のことを考えながら、読んでもらえたらと思います。
まず、見るべき数字の1つ目は「損益分岐点売上高」です。どれだけ売上高が減ると利益がゼロになるのか、売上高が現状から何%減になったらヤバいのかということが分かる数字です。計算式は「固定費÷(1-変動費率)」です。販売管理費(販管費)はほぼ固定費、売上原価を変動費とみなして計算します。
会社を運営するには家賃や人件費などの販管費がかかりますし、もちろん商品の原価もかかります。売上高からそうした費用を引いて残った金額がいわゆる営業利益なのですが、これが出なくなるポイント、つまり、黒字と赤字の境目を知っておく必要があるわけです。営業利益を10%以上出している優秀な企業は分岐点が低くなりますが、大概の企業は85%くらいだと思っています。つまり売上高予算の15%割ったら営業赤字になるということです。
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